7話 ページ7
今すぐにでも泣いてしまいたい気持ちを抑えてグッと口角を上げて彼に笑いかける
「突然ごめんね…変な事言って」
「ッ！…あァー…なんかお前らしくねぇーじゃねぇーか…大丈夫かァ？」
大丈夫なわけがない…辛くて苦しくて今直ぐにでも逃げ出してしまいたいッ…
けれど口は勝手に 大丈夫 だと答えていて、そんな私の返事に彼は安堵した表情を浮かべる
その安堵した表情は私を心配してしているのか、それとも…
私の想いなんてどうでも良いの？
「ほら、固まってないで行くぞ…」
そして彼は私を置いて歩き出す
その後を私は慌てて追いかける
だが、彼は私を気にすることもなく、ズンズンと先を歩いて行く
先程より冷たい彼
…やっぱり欲張ったらいけなかったんだね
だって彼は私自身を愛しているんじゃなくて"あの子"と瓜二つの私の姿を愛しているんだから
私自身に好きだと言われても嬉しくないよね
そんな事最初から分かっていたはず…なのにッ…
小走りで彼を追いかけていた私の足はいつのまにか止まっていた
そして先程まで前で歩いていた彼はもういない
きっと彼にとって私はいつまでもあの子の身代わり
私の意思なんて要らない、受け取らない、聞いてくれない
スッと静かに溢れる涙
あぁー…なんで今まで気付かなかったのだろう
私がどれだけ彼を想っても報われない事を
そして私は彼にとっての都合の良い人形でしかなかった事を
感情がぐちゃぐちゃになって、立っていられなくなりその場に座り込む
彼からの愛が偽の物だと気付いていた
彼が私とあの子を重ねていたのに気付いていた
けど、やっぱり心の何処かで期待していたの
少しでも私を想ってくれているんじゃないかって…
だが、違った…
彼の返事を様子を見て確信した
私は"やっぱり"愛されていなかった
なら最初から…
期待なんてしなければよかった…
告白なんてしなければよかった…
…彼を好きにならなければよかった…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Omiso
| 作成日時：2018年6月23日 21時
