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1話 ページ1
「こっち来いよ…A」
そんな甘い声で私の名前を呼ぶ彼はグイッと私の腕を引っ張りそのまま私を押し倒す
そして彼はいつもの様に同じ言葉を私に言うのだ
「…愛してる…」
その言葉に私は何度も騙されただろうか
その言葉に私は何度も舞い上がっただろうか
でもその愛の言葉は決して私に向かって言っているわけではない
彼の目にはきっとあの子が写っていて、目の前の私なんか見えていない
そんな彼に私は心が掻き乱され、悲しみで押し潰されそうになる
だから
何度も彼から離れようとした
何度も彼を忘れようとした
苦しい日々を過ごす事が辛かった
けれどまだ何処かで彼に期待している自分がいて…
私を本当に愛してくれなくても
私を本当に見ていなくても
私は今日も明日も彼を愛してしまうだろう
「私も貴方を…ーー」
嘘を嘘で重ねて彼の虚無の愛にしがみつく私は惨めで滑稽で…
彼と同じ死神だ
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作者名：Omiso
| 作成日時：2018年6月23日 21時
