諦めきれない想いを胸に【サーティーン】

35話 ページ35

13サイド


俺に背を向け走り出す彼女を追いかけようとするが、去り際の泣きそうな横顔を思い出して思わず足が止まる


何が原因でAは苦しんでいるんだ？


いくら考えても分かるはずはないが、気になりだしたら止まらない


「…とりあえず取っ捕まえて話を聞くか」


そう結論に至り、止めていた足を動かしはじめた



〜〜



彼女を探して広場に着くなり辺りを見渡すと自分の席で顔を俯かせて座っているAの姿


「おい、A…」


そう名前を呼ぶと小声で ごめんッ… と呟く


「何がごめんなんだよ？ともかく話を聞かしてくれねぇーと分からねぇーよ」


少し叱り口調で言うと肩をすくめながらも


「そうだよね…ごめんね…でももう少しだけ時間をちょうだい」


そう言ってAはまた俺の前から去って行った

そんなAの行動がよく分からず俺は頭を抱える


少し待って なんて言われてもどのくらい待てばいいんだよ？

しかもあんなに泣きそうな顔をされて…


俺がお前をほっておけるわけねぇーだろうが


すぐに俺は彼女が歩いて行った方へと走り出し彼女の後を追う

するとふらふらと歩く彼女の背中

そんな彼女の背に向かって Aッ！と叫び手首を掴んだ


「なんッで…時間をくれって…」

「あんな泣きそうな顔で言われても説得力ねぇーよ」

「ッ！13…」


そう俺の名前を呼ぶとポロポロと涙を流す彼女

そんな彼女を優しくそして強く抱き締める

するとAは糸が切れたように俺の腕の中で眠ってしまった


「ったく…しょうがねーやつだな…」


そう言いながらもAが側にいる安堵感と嬉しさを噛み締めて、そっと彼女の頬を撫でる俺は相当彼女に惚れ込んでいるらしい









だが、そんな彼女に後に裏切られることを今の俺は知らない

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