７話・神隠し ページ7
「お前の願いを叶えてやろうか？」
どこからともかく聞こえてきた声に顔を向けると真っ黒な和服…イルミの弟であるカルトが着ていたような服を着こなす年老いた男が立っていた。
こちらを見つめて目を細める表情はまるで狐のようでどことなく気味悪さを感じた。だが、相手から発せられるオーラの量に舌なめずりした。
こいつは強い。
「願いを叶えるって僕の願いが分かるのかい？」
「あぁ、分かる。お主は願いを叶えるべく自然とこの土地に引き寄せられて訪れた」
「へぇ。なら、アンタの強さに僕は惹きつけられたようだ。新しい玩具を探して壊したくて仕方がなかったんだからッ！」
ヒソカは真っ直ぐに男の元へ飛んだ。だが、相手は微動だにせずに気味悪い笑みを浮かべたまま。
そして、自身の手が老人の首を捉える前にポンと肩に触れられた瞬間にドクリと体中に嫌な悪寒が走った。
後ろに飛び退いてすぐさま体に異常がないか見るが、それは常に発動されていた。
足が消えかかっている。一体どうなっているんだ。どういう念だ。どういったカラクリだ。どうやって…ッ…
普段焦ることのないヒソカは動揺した。
それもそのはず自分を上回る圧倒的スピードで触れられ、体が消えていくなど不可解すぎるものだったからだ。
その上に目の前から発せられる彼のオーラは異質なものを感じた。冷や汗を流すヒソカに老人は高笑いをして
「安心せい。命を取るものではない。お前さんの願いを叶える手助けをしてやるさ。わしの念能力は…神隠し。文字通り触れた相手を別次元の世界へ飛ばすことで神隠しするんじゃよ」
「…別次元？一体どこに飛ばすつもりなんだい」
「異世界とでも言っておこうか。お前さんには退屈な世界になるじゃろうが、願いには近づくじゃろう。そこで、お主の願いを叶えられるかどうかは自分次第じゃ」
「ククッ。面白い冗談を。僕に願いなんてものは…」
「いいや、ある。気づいてないだけで心の奥底で願ってるはずじゃ。だから、特別にアドバイスを教えてやろう。この世界に戻る際はあちらの「稲荷神社」で祈りを捧げよ。その際に…誰かを道連れにするのなら相手に触れることが発動条件じゃ」
その老人の言葉を最後に完全に意識を失って気付けば、大雨の中で知らぬ土地の路地裏に倒れていたのだった。
そして、そこで出会ったA。
偶然とは思えなかった。何故なら…この手で壊したかつてのお気に入りの玩具と瓜二つであったのだから。
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ササク(プロフ) - 滅茶苦茶面白かったです！でも、面白いという言葉で片付けることをしていいのだろうか…と思わされる程の作品でした！特に人の感情の描写がすごくて自然と、こんな気持ちもあったのかな？と考えさせられ惹き込まれました！素敵な作品をありがとうございます！ (2023年2月25日 9時) (
レス) @page37 id: ba5c48af12 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - チョコチップさん» チョコチップさん！コメントありがとうございます！終わりは原作の方と繋げようと意識していた部分はあったので気付いて下さってとても嬉しいです！前作に引き続き今作までお付き合い頂きありがとうございました！ (2022年6月21日 11時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
チョコチップ(プロフ) - 前作に引き続き、楽しく読ませていただきました！ヒソカなりの愛し方で夢主ちゃんと向かい合おうとしている姿がとても印象に残りました。終わりかたも原作の方に繋がるようなもので、とても読みやすかったです！更新お疲れ様でした！ (2022年6月20日 22時) (レス) id: ffec85aa52 (このIDを非表示/違反報告)
でぶき - こちらこそありがとうございやした!!!!!☺️☺️ (2022年6月20日 15時) (レス) id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - でぶきさん» でぶきさん！またのコメントありがとうございます！何度も素敵なコメントを送ってくださってとても励みになっていました！また、イラストも見て下さったのですね！嬉しいです😊本当に最後まで読んで頂きありがとうございました！ (2022年6月20日 12時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2022年6月3日 17時
