29話 ページ29
_________
「(三途と仕事の話をしてくるから家で待ってろ)」
そういって私を家に置いて出掛けたココだけど…
「帰り遅いなぁー」
かれこれ五時間ぐらいは経ち、時計の針は深夜0時を回っていた。
そんなに春ちゃんと喋ることがあるのだろうかと心配になってきたとき、ガチャリと玄関が開く音がした。
「ココ!」
すぐさま自身の部屋を出て廊下の先に見えた玄関に額に大量の汗を浮かべ血相を変えたココの姿があった。
靴を履いたままヅカヅカとこちらに歩みを寄せて私の手首を掴んで
「A、今すぐ逃げんぞ!!!」
「…え?ちょっ、一体どういうこと!?」
そう聞いても余裕がないのかココの耳には届かずにグイグイと引っ張られていく。
「ココ!聞いて!!」
グッと足に力を入れてその場で立ち止まれば、やっとココはこちらを見てくれた。
「ちゃんと説明してくれないと分からないよ!」
「〜ッ車で説明するから俺の言うこと聞いてくれ!」
再びされるがままに引っ張られていく。何がどうなっているのか分からずに混乱したまま玄関から外へと出る前に、
あの綺麗な女の子が映っている写真立てが目に入った
「大事なもの置いていっていいの?」
その言葉にココはハッとして写真立てを見て瞳を揺るがせる。だけど、覚悟を決めたように一度目を閉じてこちらに手を伸ばしてきてギュッと抱きしめられた。
「今は、お前が一番大切で守りたいからいいんだよ」
「そっか…」
腕が離れて顔を上げた彼は決意で満ちた顔をしていて全てを置いて私たちは二人で家を飛び出した。
すぐに車を出して出発する。運転はココが自らしていて助手席でその横顔を見る。
「まだ聞いてないんだけど逃げるって何から逃げるの?」
「…」
「黙っていてもわかんないよ」
「ッ俺がしくじったせいである奴に追われてんだ。身近にいるAも危ないから一緒に逃げる。これでいいな」
何をしくじったのかも、ある奴というのが誰なのか説明はないけどきっと話したくないから言葉を濁しているのだろう。もちろん腑に落ちない。だけど…
一番大切だって守りたいって言ってくれたココを私は信じるよ。
「分かった。二人でどこかに逃げよう!」
笑顔で告げれば、ココは一瞬目を見開いてぐっと息が詰まらせては
「信じてくれてありがとな。一緒に逃げよう。どこまでも」
泣きそうな顔して笑っていた。
210人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Omiso(プロフ) - 十六夜夏希さん» コメントありがとうございます!好きだと言っていただけてとても嬉しく思います!また、書き終わってしばらく経った今でもこうしてコメントを頂けること幸せです!本当に最後まで読んで頂きありがとうございました! (2022年4月30日 14時) (レス) @page38 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - マイキーが春千夜を見放す(?)のって珍しいですね!言葉では表せないくらい好きです。お疲れ様でした!! (2022年4月30日 13時) (レス) @page39 id: cc6ab814ba (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆゑるさん» コメントありがとうございます!わわっ!たくさん褒めていただいてとても嬉しいです😊何より貴方様を楽しませられたことが作者にとって一番の幸せです😭本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年4月12日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゑる(プロフ) - うわぁぁぁ!!今読み終わったんですけど、最高ですっ...!作者様の表現の仕方からもう素敵でした😭めちゃくちゃ面白かったです!!!!! (2022年4月12日 1時) (レス) @page39 id: 1d05848943 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - yumuiさん» コメントありがとうございます!隠れ主人公!確かにそういった捉え方もありますね…貴方様の発想に驚かされました。作り手としてしっくりときたお言葉をいただいて嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年3月7日 16時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Omiso | 作成日時:2021年10月16日 17時