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27話・どうすれば償えるのか ページ27

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逃げようとした時には遅かった。銃を突きつけられて丸腰の状態。


「まだAと出会ったあとの話をしてねぇーだろ?最後まで話聞けよ」


この部屋に入る前に持ち物を預けたのが間違いだった。いや、全て三途の策略通りなのか。


「帽子を外したアイツは相変わらず綺麗な顔をしていた。お前だって初めて会った時は思っただろ?」


図星をつかれてドキリとする。

雪に溶け込むような彼女の白さと儚さは誰しもが惹かれる。美しさとは恐ろしいものだ。


「アイツは真っ先にオレの髪を見て青ざめてた。正体に気付かれたと思って焦ったぜ。けど、取り繕って演じればオレと分かっていなかった。何でだと思う?」

「なんでって…」

「単純だ。テメェがくれたピエロの仮面のおかげに決まってんだろ?素顔がバレてねぇーからオレの顔を見たって分かりやしない。髪の色なんてごく一部の判断材料にしかならねぇーんだよ。なぁ、九井。お前のおかげで警戒されずに済んだ」

「なっ…」


俺が…俺のせいでAは三途の正体に気付くことなく危険に晒していた?それにAが梵天の被害者なんて想像してなかった。両親を殺した組織に属している俺はどのツラ下げて彼女の側にいればいい?


「オイオイ、そう落ち込むなよ。梵天として正しい行動をしただけだろ。なんなら誇っていいんだぜ?」

「〜ッ」


目の前の男が悪魔に見えた。それと同時に自分の行いをこれほど悔やんだことはない。

俺は、Aを三途に再び出会わせてしまった挙句に両親殺しの手伝いに関与してたなんて思いもしなかった。知りたくなかった。認めたくなかった。

そのことに無性に謝らないと気が済まなくなった。


「A…ッ…ごめん…ごめん…俺は…ッ…」


顔を両手で覆って、押し寄せる罪悪感に絶望する。

このことを知られば彼女に軽蔑される。罵倒だって、信頼だって、死ぬほど恨まれて全てを失ってしまう。


「(ココ!)」


そう、愛おしい笑顔で呼んでくれることは無くなる。


「ッ違うんだ…A…俺はそんなつもりじゃ…!」

「あ゛?なにが違うって。そういうのは本人の前で言えよ。すぐに会わせてやるから」


その言葉に顔を上げれば、三途はニィと企むような笑みを浮かべた。

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Omiso(プロフ) - 十六夜夏希さん» コメントありがとうございます!好きだと言っていただけてとても嬉しく思います!また、書き終わってしばらく経った今でもこうしてコメントを頂けること幸せです!本当に最後まで読んで頂きありがとうございました! (2022年4月30日 14時) (レス) @page38 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - マイキーが春千夜を見放す(?)のって珍しいですね!言葉では表せないくらい好きです。お疲れ様でした!! (2022年4月30日 13時) (レス) @page39 id: cc6ab814ba (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆゑるさん» コメントありがとうございます!わわっ!たくさん褒めていただいてとても嬉しいです😊何より貴方様を楽しませられたことが作者にとって一番の幸せです😭本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年4月12日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゑる(プロフ) - うわぁぁぁ!!今読み終わったんですけど、最高ですっ...!作者様の表現の仕方からもう素敵でした😭めちゃくちゃ面白かったです!!!!! (2022年4月12日 1時) (レス) @page39 id: 1d05848943 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - yumuiさん» コメントありがとうございます!隠れ主人公!確かにそういった捉え方もありますね…貴方様の発想に驚かされました。作り手としてしっくりときたお言葉をいただいて嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年3月7日 16時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2021年10月16日 17時

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