9話 ページ10
「んで、お前はそんな強いんだよ！？ふざけんな！」
「ふざけてなんかありませんよ！？」
「知ってるわ！バーカ！」
「バカ！？」
バタンと草原に倒れる彼は「やってらんね」と拗ねたようにするが気持ちよさそうに風にあたっている。
その隣に座ってボールから出してあげたポケモンたちが駆け回っているのを眺めていると
「Aはさ」
その声にキバナさんの方を向くとバチリと目が合って
「まだ子供だ。子供で世間知らずだからこそ自分の夢だけを追い続けられる自由な期間であるべきだ」
「…」
サァーと流れる風に髪が靡いてその隙間から見える彼の瞳は細められる。
「そんなお前は何も気負う必要はない。チャンピオンだからって完璧なチャンピオンにならなくていい。お前はお前なんだから。それにチャンピオンのあれこれの責任なんて俺たち大人に任せておけ。だからさ」
溜め込むな。周りに流されんな。我儘ぐらいいくらでも言えばいいんだよ。
その言葉に心の中で引っかかっていたものが取れて途端に視界が歪みポロポロと涙が止まらなくなった。
「って…泣くほど辛かったのか！？」
バッと起き上がったキバナさんはあたふたする。そんな姿にクスリと笑ってここ数ヶ月なかった笑顔を取り戻せた気がした。
＿＿＿＿＿＿＿＿
「お見苦しい姿を見せてすいません。それにすっかり遅くまで付き合わせてしまって」
「そういうの気にしなくていいんだよ。あ、そうだ！今からケーキ奢ってやるよ。甘いもん食わしてやれてなかっただろ？」
はしゃいで、遊んで、自分のしたいことだけをやってそれに全て付き合ってくれて、今はこうしてケーキを買ってくれようとするキバナさんは本当に面倒見がいい人。
「こことかどうよ。結構人気店なんだぜ？好きなの買ってやるからな」
カランとベルを鳴らして店に入る。「いらっしゃいませ」と若い女性店員は顔を上げた瞬間、案の定キバナさんを見て目を輝かせた。
「キ、キバナ選手！？」
「遅くにごめんな。どうしてもコイツにいいもん食わしてやりたくてな」
グシャリと頭を撫でられる。こちらに視線を向けた店員は驚いたように「チャンピオン！？」と肩を跳ねさせた。
「悪いが、俺たちがここに来たこと内緒にしてくれねぇーか」
軽くウインクするキバナさんに店員は「もちろんですぅー！」とハート飛ばしていくつかの商品を勧める。
それに頷くキバナさんは時より私に意見を聞きながらケーキを沢山買ってくれた。
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます！キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです！それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年5月7日 8時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました！キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品！！ (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです！神作品だなんてそんな！私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます！貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです！最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2021年8月10日 1時
