11話 ページ12
「この記事のついでに君からのふざけたメールも読ませてもらったよ。キバナ。スケジュールを詰めすぎだとかという話もこうして記事に取り上げられたことも踏まえて聞くぞ。Aくんが今、新チャンピオンとして大事な時期なのは分かっているのか？」
「…」
「こうやって騒がれると困るんだ。それに特にキバナといれば余計にAくんは目立ってしまう。もしかすると変な噂を立ててくるやつもいるだろう…仮に恋人関係なんて流されるとたまったものじゃない」
「はぁ？それはねぇーだろ！？俺とAがあくまで兄妹関係に近い仲だって周知されてんだろ！それを囃し立てるやつなんていねぇーよ！第一、メディアの顔を気にしてAを制限すんのか！？」
「あぁ、するさ。全てはAくんのためだ。後先考え行動して悪い結果を生まないようにAくんを守る。目先のことだけにとらわれて本質を見間違え彼女を甘やかす君とは違ってね」
「〜ッ！」
即答するダンデさんには迷いがない。
狼狽えるキバナさんから目を逸らしてこちらに向けられた瞳は真っ直ぐだった。
「さぁ、Aくん。帰るよ。明日は早いんだからな！」
先程のキバナさんに向けていた冷淡な態度とまるで違うニカリとして笑う表情に何も言えなくなった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
気づいた時には自分の意思でリザードンの背中に乗っていた。ダンデさんの足の間に挟まれるように乗せられて背中に体温を感じる。
トクントクンと背中越しに感じる彼の鼓動は心地良いものなのかどうかは分からない。
ただ静かに流れる景色を眺めていたら不意に
「Aくん、すまない」
ぽつりと呟かれた謝罪の言葉に目を見開いた。
「オレは君にとって嫌な奴だろう。無理をさせているのも分かっている。理解しきれなくて苦しいのも、こうやって制限をかけてしまっていることも重圧なのも全部分かっているんだ」
ダンデさんの方を見れば悲しそうに笑っていた。
「だが、事実を知ってほしい。オレは今日君を一日中探し回った。なぜだと思う？答えは単純だ。君にうろつくメディアの影が心配だった。記事を見た一部の連中の君を叩く声に腹が立った。他にも皆が君に注目してあらゆる行動を監視していると言っても過言じゃない。だが、こんなこと今後いくらでもある。君はまだ何も知らない。チャンピオンに立つというのがどれほど過酷なことを」
その言葉に息を呑んだ。チャンピオンとしての自覚を強く持てと言われているのだと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます！キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです！それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年5月7日 8時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました！キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品！！ (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです！神作品だなんてそんな！私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます！貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです！最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Omiso
| 作成日時：2021年8月10日 1時
