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35話「縋って離したくなかった」 ページ36

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ブワリと風が吹いて目の前に現れたムゲンダイナ。彼女のボールは気絶している間に預かったつもりだったが見落としていたのか。

両腕で勢いを受け止める。その隙間から見えた彼女の姿。ムゲンダイナを従えて堂々と立つ姿に震えた。

天井を突き破り瓦礫が崩れていく中で月明かりが彼女を照らす。ギラギラと闘志に燃える瞳にオレは魅入られてしまったんだ。

皆が逃げていく中で、一歩一歩踏み締めて彼女へ手を伸ばす。


「チャンピオン!!!」


君こそがその名に相応しい。誰よりも圧倒的な力、時を重ねるごとに強くなる全くもって叶わない存在が。

そんな君を追いかける時間は何よりオレの人生に輝きを与えた。

それら全てを失いたくない。逃がしたくない。君はここにいるべきなんだ。

しかし、彼女はオレの声には応えなかった。マントを翻して彼女が手を差し伸べた相手は、


「A…ッ…」


キバナだった。あぁ、何故なんだ。オレの方が対等なはずなのに。君はそちらの手を取るというのか。

ギリと奥歯を噛み締め彼女の背をひたすら見つめる。


「…ならッ」


こちらを向かないのなら無理矢理にでも向かせよう。


「〜ッチャンピオン!オレとバトルだ!!!」


その声にやっと君は振り向いた。バトル狂の君にこの言葉は無視できない。そうだろ?オレだって同じだ。

そして…このバトルには条件をつけようじゃないか。


「もしオレが負けたら君の引退は認めよう。だが、君が負けたら…今まで通りオレのいう通りにするんだ。これから先、生涯に渡って側にいてくれ」


その言葉に彼女は大きく目を見開いた。条件があまりに不平等とでも思っているんだろう。


「A、鵜呑みにするな!」


そう叫ぶキバナの声が聞こえる。だが、分かっている。Aくんは一度申し込まれたバトルには


「分かりました。受けて立ちましょう」


断らない。そうだ。それでこそAくんだ。信じていたよ。

そんな彼女とオレは今、どれほど実力差があるのだろうか…いや、この数年君に勝つために影で鍛え上げてきたんだ。

バサリとマントを取る彼女。その恐ろしく澄み切った瞳から目を逸らさない。


「勝って正々堂々と君を手に入れよう!!!」


上に投げたボールから眩い光から飛び出し、それぞれのポケモンが睨みあう。


「容赦はしない。オレの一世一代をかけた勝負だ」

「…望むところです」


その言葉を最後に二つの勢力が勢いよくぶつかった。

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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
- 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時

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