32話 ページ33
バトルは根性で情熱だけで乗り切れるものではない。
一番必要なのは圧倒的実力。
負けられない試合だった。この試合はAを救う唯一の方法だったのに。俺は…ッ…
「〜ックソ!!!」
膝から崩れ落ちる。あぁ…ッ…なんで…なんで!!どうして目の前のダンデに勝てないんだ。
「手持ちがない今の君は無力だ。さぁ、諦めて帰ってもらうか」
こちらを見下すダンデを下からキッと睨む。こんなところで引き下がってたまるか。Aは俺が取り戻すんだ。
あいつの自由を求め飛び立つ夢を叶えてやるために。
…なぁ。A。ずっと前からお前に対する俺の心境を知らないだろう。誰よりも早く成長するお前が恐ろしいのと同時にどうしようもなく憧れて、かっこよくて、可愛くて、あぁ、何故かほっとけなかったんだ。
そして、今日。夢を叶える決意したお前の姿は本当に綺麗だった。見惚れたよ。ガキだと決めつけていたお前はとっくに大人だったんだ。
大人のお前に見惚れた、惹かれた…なんてあーだこーだいっても今更だな。後付けだ。
ただ、今はこの " 高鳴る胸 " に名前をつけない。
それでもはっきり分かっていること。俺は「お前の為ならどんなことも」してやれる。
「あ゛ァ゛ァァァァァァァ!!!!」
絶望を希望へ。足を踏ん張っては立ち上がり、生身で突っ込んでいく。
不意をつかれたダンデの横を通り過ぎて出口の扉を勢いよく開けて走った。絶対にどこかにいるはずだ。この最上階の部屋のどこかにAが。
「ッ!」
一つ大きな扉を見つけて開ける。どうやら委員長としてのダンデの部屋だ。だが、Aは見当たらない。
「キバナァァァァァァァ゛゛!!!!!」
ダンデの怒涛のような叫びが遠くで聞こえる。時間はない。ここの部屋にいると信じるしかねぇー!
見当たらないなら何処かに閉じ込められている可能性だってある。「A!」と呼んで耳を澄ました。
すると、カタリと音が置いてある本棚の後ろから聞こえた。よく床を見れば本棚を引きずったような跡。この後ろに何か隠してある。
急いでそれをどかせば扉があった。ガチャリとドアを開けるとそこには______
「キバ…ナ…さん…」
王座に拘束され、憔悴しきったAの姿があった。
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時