18話 ページ19
「お、大人のデート!?」
「んな驚くことねぇーだろ。ほら行くぞ」
いや、デートって一体何をするの!?とあれこれ考えていたが、杞憂に過ぎなかった。
「濡れただろ?風呂貸してやるから入った入った」
流れるようにキバナさんの家に連れられてポイっと脱衣所に放り込まれた。
家に連れてこられたときには驚いたが、固まる私を見て一言。
「心配すんなって。お前には流石に手ださねぇーよ」
多分…いや、完全子ども扱いされている。どこか少し複雑なような…と思いつつありがたくお風呂を借りて上がれば部屋着が置いてあった。随分と準備がいい。
「お風呂ありがとうございました。ちなみにこの部屋着どこから持ってきたんですか?女物ですけど」
「あーそれは前の…えーっとその前の女?が置いていったやつだな」
「え」
何処かの噂でキバナさんが遊び人と聞いていたけど本当だったとは…と若干引いた目をすれば、ウグッと顔を歪めては、シュンとしたように眉を下げて
「カッコ悪いところ見せて悪いな。ちょっと荒れてたんだよ。ここ数年は特に…って言い訳だよな」
後頭部をガシガシとかきながら居心地悪そうに言う。
ここ数年といえば、私がキバナさんとめっきり会わなくなってからだ。その数年に何かよっぽどな事情でもあったんだろうか。
まぁ、何もかも完璧な人なんていない。誰にでも一つや二つ欠点はあるだろう。
「大丈夫ですよ。人それぞれですから。ところでドライヤーって借りれますか」
「…切り替えはぇーのな。少しは気にしろっつーの」
「?…と言われましても」
「うそうそ、軽く流してくれてありがとな。んで髪乾かすってか?なら俺さまがしてやるよ!ここに座れ」
ソファでくつろぐキバナさんが自身の足の間を軽く叩く。いや、それは恥ずかしい。
「もう子どもじゃありませんから!」
自分で乾かそうとドライヤー探し回るものの見つからない。すると「A〜」と呼ばれてそちらを見ればいつのまにかキバナさんの手にドライヤーがある。
「なっ、卑怯ですよ!」
「ハッ、残念だったな。大人しくキバナ様のいうこと聞いとけ」
「あーもうッ!分かりましたよ!」
素直にキバナさんの方へ向かえばストンと足の間に座らされて、ブォーと勢いよく髪を乾かされる。
髪に指を通す手つきは意外と丁寧で思わず寝そうになっている時に
「髪、伸ばしてんだな。理由でもあんのか」
という質問と同時にドライヤーの雑音が止まった。
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時