14話 ページ15
「君は歴代最高のチャンピオンなんだからな」
そう告げられるが、私はただダンデさんの言う通りにしてきたからここまでこれただけだ。実力はきっとダンデさんの方が上だ。バトルでということではない。チャンピオンの器として…
向かい側に座ったダンデさんからふいに大きな手が伸ばされて私の髪に触れる。
「髪、長くなったな。よく似合ってる」
ゆるりと微笑む顔はとても甘くて、髪を触る手つきは異様に優しい。思わずそんな彼から視線を逸らした。
「…あの、ダンデさん。明日休暇取れますか？」
「ん？休みかい？そうだな。ここ最近休めてなかったな。いいぞ。何か用でもあるのか」
あぁ。やっぱり。そうやって必ず休みの理由を聞いてくるんだ。正直なところ答えづらいけど言わなきゃ。
「キバナさんと出かけようと…」
といえば、案の定ダンデさんは顔を歪ませて上げていた口角を一直線に結び、ストンと表情を抜けさせた。
そして、ハァーーーという長いため息に肩を揺らす。
「Aくん、君のプライベートをあまり制限したくはない。だが、前にも言っただろう。キバナと君はどちらも目立つ存在だ。二人が一緒にいれば騒ぎ立てる者たちは多い。それに勘違いした互いのファンがいつもいがみ合って収集がつかなくなるのは分かっているだろ？」
「でも…私は…ッ…「君はもう成人だ。あくまで大人の女性という立場を理解してほしい」
「！」
「もう子どもだと済まされない歳なんだ」
告げられたその言葉に口を結ぶんだ。
子どもから大人へ。自覚しているつもりだった。だからこそ大人になれば少しの自由は尊重できると思っていたのに。
「オレが、チャンピオンである君が道を踏み外さないように支える」
いつまで
「だから、オレのいうことを聞いてくれないか」
ダンデさんの言う通りに
「信じてついて来てくれ」
しなければならないのだろうか。
正しいと信じて疑わなかった。いや、疑ってはいけないと言い聞かせてきた。
でも、私は貴方がいう「大人の女性」なんだ。
もう頼りきりになるつもりも言いなりになるつもりもない。自分のことは自分で判断する。
子どもだからと頼る理由も無くなった。
無知だからと任せる必要も無くなった。
ちゃんと責任を背負える歳になったから、だから…！
「ダンデさん…私、もう嫌です」
逆らっていいだろう。
精一杯の思いで告げた言葉にダンデさんは、大きく目を見開いて狼狽えたように瞳を揺るがせた。
15話「嫌なんて言わせない」→←13話「大人への一歩を踏み出す」
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます！キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです！それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年5月7日 8時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました！キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品！！ (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです！神作品だなんてそんな！私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます！貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです！最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2021年8月10日 1時
