29話 ページ29
貴方サイド
〜〜
遠のいていく弔の背中。
待って！と手を伸ばしやっとの思いで彼の服を掴む。
すると、ゆっくりと振り向いた彼の顔は
「(いい加減自分が捨て駒ってこと理解しろよ)」
恐ろしいほどに冷めきった赤い瞳をこちらを向け、無表情。
そしておもむろに私の顔に手を伸ばして
「(お前…もういらないよ)」
その言葉ともにガシリと顔を掴まれた感触が走ると
ボロリと崩れる音がした＿＿＿＿＿
〜〜
ハッと目が覚めて、ガバッと体を起こす。
すぐさま顔に触れて確認するが、崩れてはいない。
ふと辺りを見渡すと、白一面の部屋。
病室といったところだろうか。そして、先ほど私の顔に手を伸ばした弔の姿もない。
これらの事実から あァ、夢だったんだ と安堵し、首元に手を当てると冷や汗がタラリと流れていた。
「お、目覚めたか？随分とうなされていたな」
突然そう声がし、バッと声が聞こえた方へと首を動かすと
半分赤と白に分かれている髪型をし、瞳も左右で違う色をしている人がいた。
この人はたしか…あの路地裏で私を捕らえ、氷の個性を操っていた人だ。
ならヒーロー側の人間…！
すぐさま拳を握り、思いっきりその人に向かって振りかぶる。
だが、パシッとあっさり止められてしまった。
「おい、危ないだろ。別に俺はなにもしねぇー」
「そんなわけない！だってヒーローは簡単に裏切って、人を見捨てて、自分のことしか考えない奴らばかりだと弔が教えてくれたんだからッ」
そう、弔が毎日のようにヒーローは敵だと教えてくれた。
だが、目の前のヒーローはそういう私に怪訝そうな顔をし
「…お前はそれを鵜呑みにしているのか？」
「鵜呑みにしてるも何も、捨てられた私を拾い、知識を与えてくれて、この世界の仕組みを教えてくれた弔が間違っているはずがないもの」
そう言って目の前のヒーローをギロリと睨みつける。
だが、そのヒーローは反抗的な私を怒るどころか私の言葉に酷く悲しそうにする表情で…
なんでそんな顔をされないといけないの…？
睨むことも忘れてその表情を食い入るように見つめてしまった。
すると、そんな私をヒーローは見つめ返して
「お前はなにも"正しいこと"を知らないんだな。この世界のことも、社会のことも、ヒーローのことすらも」
哀れむような瞳を向けられた。
「…ッ」
その瞳はいつの日かみた、私が弔の話をするたびに悲しそうにする荼毘の蒼い瞳と重さなった。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様！今作でもコメントありがとうございます！ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2022年2月7日 0時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます！1番好きだなんて…最高の褒め言葉です！死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました！今後とも応援よろしくお願いします！ (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです！！Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています！ (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！！本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです！また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います！！今後とも応援の方よろしくお願いします！！ (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2020年2月10日 22時
