47話 ページ47
死柄木サイド
ふざけるな…ッ…こんな簡単に終わってたまるか。
これからだった。これからこの社会を壊して、Aだって俺の側にずっと…
遠のいていく彼女の姿。
俺を抑え込む大勢の奴らの隙間から彼女へ手を伸ばす。
「お前は俺だけのモノなんだよッ!!俺もお前だけのモノになってやるから…ッ…お願いだ!!俺から離れないでくれ…お前だけが俺の救いだ…」
そう大声で伝えても振り向く様子もない彼女。
「何がいけなかったんだよ…俺はお前をただ…ッ…」
ただ…なんだっていうんだ。何故ここまでアイツを失うことを恐れている?
自分の感情が訳もわからず項垂れるとパシャパシャと聞こえる足音。
「おい、A!!何を?!」
焦ったようなショートの声が聞こえてハッと顔を上げるとそこには求めていたAの姿。
「ッあぁ、A。やっぱりお前は俺の元へ…」
彼女の頰に手を伸ばし触れようとするが、そっとその手を拒まれた。
「弔…私は貴方のことは好き"だった"。けれどその気持ちも貴方ともさようなら」
そう言い切った彼女の顔はスッキリしていて、立ち上がると俺から背を向けて行ってしまった。
…好きだった ってなんだよ。何で過去形なんだ。お前はもう俺のことを必要としてくれないのか?
「死柄木弔、立て!!」
数人がかりで無理やり起こされ、引きずられるようにパトカーへと連れて行かれる。
だが、もう抵抗する気力も何もかもなかった。
どちらにしたってここにAはいないのだから。
そのままパトカーに乗せられて、ふと俯き手錠がかけられている自分の手首をみる。
Aに好かれていると気分が良かった。
そんなアイツが側にいてくれて、俺のために体を張ってくれることも嬉しかった。
アイツを手放したくないと思った。
アイツがいない間は酷くイラついていた。
アイツが…
もう俺のことを好きではないと知ったときは____
ボロボロと自然と流れ出す涙。
ふとAが俺を慕い、俺の名前を呼び、笑顔を向けてくれる姿が脳裏に浮かぶ。
名前を呼ばれ、側にいてくれるだけで心が温かくなっていたことを今まで気付きもしなかった。
それどころか、突き放して、見捨てて、離れれば強引にでも取り戻そうとして…
あァ、なんてガキみたいなことをしていたのだろう。
俺は最初から素直になって、伝えれば良かったんだ。
「Aッ…好きだなんて遅いよな…」
今更導き出したこの想いは届くことはないのだ。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様!今作でもコメントありがとうございます!ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います!本当にありがとうございました! (2022年2月7日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます!1番好きだなんて…最高の褒め言葉です!死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました!今後とも応援よろしくお願いします! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです!!Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています! (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!!本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです!また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います!!今後とも応援の方よろしくお願いします!! (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年2月10日 22時