45話 ページ45
「逆探知で俺の居場所を突き止めろ。そしたらヴィラン連合の居場所も全部分かるだろう」
「お前、一体なにを考えているんだ」
「つけば分かる。んでアジトについたらドアの前で待機しろ。俺が合図をしたら入って死柄木や他のヴィラン、そして俺の身柄を確保したって別に構わない」
「お前の言葉を信じるとでも?」
そういうと思ったよ。そう簡単にこんな都合のいい話を敵に言われても疑心しかないだろう。
だが、これを言えばお前は必ず動く。
「信じないのも自由だが、Aがどうなってもいいんだな」
「A?!Aがどうしたっていうんだ!」
そうだろうな。お前はAのことを無視できない。
なんたって、あの半月の間にAの面倒を見て、心を開いていたのを俺は知っている。
「死柄木に捕らえられている。一刻も早くこねぇーとAが危ないのは確かだ」
「〜ッ」
しばらくの沈黙が続いた後、複数の足音がバタバタと動き出す音が聞こえる。
「お前の言葉を信じよう。逆探知をし、もう居場所は分かった。あとはお前の合図を待っている」
「ハッ。お前なら分かってくれると思ってたよ。Aを大事に思ってるお前ならな」
「勝手に言っておけ。だが、お前もヴィラン側というのにはかわりない。いくら情報を教えてくれたって罪は軽くならない。いいんだな」
「あァ、構わないってさっきも言っただろ。だがな、一つだけ条件がある」
「なんだ」
「必ずAを保護という形にしろ。決してヴィラン側だと認識するなと他のやつにも伝えておけ」
アイツには暗い道を歩くより明るい未来を歩き、幸せになる資格があるのだから。
「そんなこと言われなくても分かってる」
「…あぁ、頼んだぞ」
そして、プツリと無機質に電話が切れた
〜〜
後ろで俺の名前を叫び、求める声。
今すぐにでもこの手錠を振り解き、彼女を抱きしめて、二人で逃げちまいたい。
が、そんなこと出来るはずもなければ、今まで罪を重ねた俺にする資格もないのだろう。
アジトを出て路地裏を抜けた先には沢山のパトカー。
こんなにも警察やヒーローが集まるなんて俺たちヴィラン連合は大きな脅威にみられてたのか。
なんて呑気に考えているとポツリポツリと降り出す雨。
そして次第に大雨となって全てが濡れていく。
頰も、髪も、服も全部全部激しく降る雨で濡れていく中、
「〜ッ荼毘!!」
愛おしい彼女の声がすぐ後ろで聞こえた。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様!今作でもコメントありがとうございます!ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います!本当にありがとうございました! (2022年2月7日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます!1番好きだなんて…最高の褒め言葉です!死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました!今後とも応援よろしくお願いします! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです!!Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています! (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!!本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです!また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います!!今後とも応援の方よろしくお願いします!! (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年2月10日 22時