20話 ページ20
貴方サイド
弔に強引に連れてこられたのは彼の自室。
着いた途端にドアを閉められて、密室で彼と二人きりになってしまった。
まずい と思った時には遅くて、壁に追いやられ背中が痛むのも束の間、覆いかぶさる彼の影。
「なぁ、A。俺への忠誠心はそんなもんだったんかよ?」
私を見下ろし、紅い瞳を冷たくこちらに向ける。
「俺以外の他の男に目移りして、優しくされたらそっちにいって…」
スッ目を細めながら私の頰に手を滑らせ、じっと見つめられる。
「お前は俺だけのモノだろ?」
試すかのように私の瞳を覗き込むように顔を近づける弔。
だけど私は…
「私は貴方のモノなんかじゃない…ッ…!!」
バッと力一杯彼を押し返すとよろめき、私から手を離す。
その隙に逃げようとするが、
すぐさま頭を押さえつけられ床に叩きつけられる体。
「おいおい、あんま調子乗られるとお前に優しくできないんだけどな?」
声は楽しそうだが、表情は一ミリも笑っていない。
だが、そんな彼に屈しずにギロリと睨みつけるとクツクツと笑う彼。
「随分と反抗的になって…悲しいよ。A。お前は俺のことを慕い…」
スッと耳元に顔を寄せれば
「好意を寄せてくれてたっていうのに」
その想いを知られていたことにガツンと頭に衝撃が走った。
なんでそのことを知って…!?
「なんでって顔してるなぁ?そりゃあ他人の好意なんてすぐに分かる。特にお前は分かりやすかったな。俺の命令にはすぐに従い、体を張って俺を守ってくれる…
そのお前の好意は、俺にとって利益しかなかったよ。ありがとうな」
と清々しく笑い、私の気持ちを踏みにじる彼に思わず涙がこぼれる。
「あァ、泣くなよ。俺はその好意が嬉しかったんだぞ?だからこれからもお前には俺を慕い続けて欲しいんだ」
「〜ッそんな自分勝手なこと言わないでよ!」
「自分勝手…確かにな。見返りもなくお前の好意を求めてるもんな。だったら…」
押さえ込まれていた体をそっと抱き起こされかと思えば、涙を拭かれて両手で頬を包み込まれる。
そして、そのまま顔を近づけられると______
優しく口付けをされた。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様!今作でもコメントありがとうございます!ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います!本当にありがとうございました! (2022年2月7日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます!1番好きだなんて…最高の褒め言葉です!死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました!今後とも応援よろしくお願いします! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです!!Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています! (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!!本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです!また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います!!今後とも応援の方よろしくお願いします!! (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年2月10日 22時