51話 ページ11
「……え？…記憶を…消す…？」
「あァ、このままだといつまでもお前は俺を見てくれない。だから、仕方がねぇーんだよ…分かってくれるよな？」
分からない…そんなの分かりっこない…！！
愛すべき人を忘れてしまうなんて絶対に嫌ッ…！！
勢いよく抵抗し、その場から逃げ出そうとする。
だけど、すぐに両手を掴まれて押し倒される。
「安心しろ。記憶を消すのに長けている個性の奴を連れてきた」
そう荼毘が告げると、部屋のドアが開き、見知らぬ人が入ってくる。
そして、その人が荼毘と一言二言会話を交わすと静かに手に力を込め始める。
「今からコイツに個性を使ってお前の記憶を消してもらう。よかったな、A。次目が覚めた時はあの野郎(出久)のことなんて忘れられる」
「〜ッやだ、やだ、やだ、やだッ！！出久ッ、出久ッ、出久ッ！！！」
子供のように駄々をこねて、髪が乱れるくらいに抵抗して、溢れかえる涙とともに腹の底から叫んで…
愛おしい人の顔を浮かべて助けを求める。
だけど、そんな都合よく出久は私の元に来てくれなくて、
「あの野郎の名前を俺の前で言うな、叫ぶな、求めるな…ッ！！ お願いだからいい加減俺を見てくれッ」
叫ぶ私を黙らせるように、深く深く口を重ねられた。
そして、何か固定物を喉の奥に押し込まれて飲み込んでしまう。
途端に遠くなる意識、ぼやける視界。
そんな中で、記憶を消す個性持ちの人の手がゆっくりと頭に近づいてくるのが微かに見えた。
「出久ッ… 」
愛おしい彼の名前を呟いて、一筋の涙がポロリと落ちる。
「これでお前はやっと俺を…ッ…」
愛してくれるんだよな と荼毘の声が聞こえたのと同時に頭に触れられる感触がして、
パッと頭が真っ白になって、そのまま深い深い眠りについた。
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Omiso(プロフ) - ユリさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました！貴方様を楽しませられたこと心から嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2020年9月1日 9時) (
レス) id: 9c7156f888 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 凄く楽しかったです！ (2020年9月1日 0時) (レス) id: a96c1cf246 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - シラユキさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様にそう思って頂けてとても嬉しく思います！こちらこそ素敵なコメントをして下さり本当にありがとうございました！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 377f79ecdf (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ(プロフ) - ラスト、泣きそうになってしまいました！！ どのページも楽しみながら読み進めることできました！！ 本当に最高の作品をありがとうございます！！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 4aa4850497 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ひまりさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様から何度もコメントが来るたびにとても励みとなっていました！そして、この作品を褒めて頂けてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！！ (2019年11月22日 20時) (レス) id: 1a1ef423e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2019年11月8日 22時
