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60話 ページ20

「A、愛してる…誰よりもお前を愛してる…」


お前もそうだろ? とは言わないし聞かない。

彼女から返ってくる答えは沈黙だけだと知っているから。


「…?荼毘、目元から血が流れてる…」


そう言われて、拭ってみると手には真っ赤な血が付いていた。


あァ、なんでこんなものが流れているんだ?


「痛そうだね…拭いてあげる…」


そっと目元に彼女の手が触れて、優しく撫でられる。

その手を取って、頰に当てて温もりを感じた。


「荼毘、離して。これじゃあ血が…」

「拭かなくていいんだよ、こんなの。痛くもねぇーんだから」


そう、痛くはない。痛くはないんだ。

それよりも、胸が酷く苦しくて…


「なら、なんでそんなに苦しそうな顔をしているの?」

「さァ。何でだろうな。俺にも分かんねぇーよ」



あァ…やっぱりお前に愛されたいと思ってしまう。



「…ッA」


ただ、名前を呼んで彼女を抱きしめる。

辛くて、惨めで、届かない想いも心の奥底に押し殺して彼女を感じていよう。


「荼毘」


名前を呼ばれて、背中を腕に回されて、ギュッと抱き締め返される。


なんだよ、俺…

拒絶されるより、無理やり支配するより、

こうやって優しく包み込んでくれる彼女がいるだけで十分じゃねぇーか。


例え心の底から彼女に 愛されなくても やっていける。


きっと…きっと…な_____






「んなわけねぇーだろうが…ッ…

A…ッ…一度でも…一度でもいいから…!」


俺に「愛してる」と言ってくれ



そんな願いに、彼女からは何も返ってこなかった。


____

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Omiso(プロフ) - ユリさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!貴方様を楽しませられたこと心から嬉しく思います!本当にありがとうございました! (2020年9月1日 9時) (レス) id: 9c7156f888 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 凄く楽しかったです! (2020年9月1日 0時) (レス) id: a96c1cf246 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - シラユキさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます!貴方様にそう思って頂けてとても嬉しく思います!こちらこそ素敵なコメントをして下さり本当にありがとうございました! (2019年12月18日 23時) (レス) id: 377f79ecdf (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ(プロフ) - ラスト、泣きそうになってしまいました!! どのページも楽しみながら読み進めることできました!! 本当に最高の作品をありがとうございます!! (2019年12月18日 23時) (レス) id: 4aa4850497 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ひまりさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます!貴方様から何度もコメントが来るたびにとても励みとなっていました!そして、この作品を褒めて頂けてとても嬉しく思います!本当にありがとうございました!! (2019年11月22日 20時) (レス) id: 1a1ef423e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2019年11月8日 22時

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