17話 ページ19
17話
ユーリside
ユ「ッチ、めんどくせぇ…。」
俺は屋上に来ていた。
ドアは、立ち入り禁止という看板が貼ってあったにもかかわらず、奇跡的に空いていた。
とりあえず屋上に出て深呼吸してから、ど真ん中に仰向けに横たわった。
ユ「…全部あのデブのせいだ。」
頭の中では自分が悪いのが理解できているはずなのに、口から出せるのは人を貶すような言葉ばかり。
俺は小さい頃からそんな奴だった。
誰かに友達になろうとも言われなかったし、俺からも言わなかった。否、言えなかった。
家に帰ったらすぐスケートリンクへ行った。晴れの日も、はたまた吹雪の日も、毎日毎日爺ちゃんと通い続けた結果、今のような功績を残せるようになった。だけ。
俺にはスケート以外、何もなかった。
「ユーリくんは覚えが早いわね、これなら1ヶ月で喋れるようになるわ!!」
『あれ、君って…ユーリくん、だよね?』
「もうひらがなかけるようになったのね!
本当にユーリくんは優秀ね。」
『俺、ユーリくん送ってくるよ。どうせ帰り道なんて覚えてないんでしょ?』
あの聖母のような笑顔に、Aの顔が重なる。
あれ、俺なんで泣いてんだ…?
ユ「A……。」
ふと、呼びたくなった名前を呼んだ。
『俺の名前を呼んだ、よね?』
ユ「う、うわぁ!!」
『なんでここに、って顔してるね。なんで俺がいっちばん最初からここに来れたか、教えてあげよっか?』
試すような、煽るような表情をしてくるA。
そんなこと知らねーよ、と、つられて笑ってしまいそうだ。
『答えてくれないの〜?正解したら、Aポイントを差し上げるのになぁ〜。』
…なんだよAポイントって。
ユ「…勘あたりじゃねーの?」
『残念、不正解です!!正解は、ユーリくんがここにいると思ったからでした!』
それって勘と一緒じゃねぇか!!
そう突っ込もうとした矢先、Aが近づいて来た。
『不正解のユーリくんには、残念賞として!
なんと俺からのハグをプレゼントしまーす!』
ユ「…へ?」
ぎゅーと包み込まれるように抱きしめられる。
Aが屋上に来てからビックリした反動で上体が起き、胡座をかいていたが、俺の足の前に膝を立てるようにしてつき、思いっきり抱きしめられた。
なんだ、この感覚は。
さっきまでは一筋だけだったのに。
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小梅(プロフ) - 無気力系塩キャラメルさん» コメントありがとうございます。更新停止してしまい、本当に申し訳ありませんでした!更新できない間、まだ出ていないキャラクターと主人公との関係性やストーリー構成を考えることができたので、これからも小説更新に勤しみたいと思います。 (2017年2月20日 21時) (レス) id: b13ebfc049 (このIDを非表示/違反報告)
無気力系塩キャラメル - 合格おめでとうございます!続きが読めることがとても楽しみです!更新頑張ってください! (2017年2月20日 21時) (レス) id: c1b4f14014 (このIDを非表示/違反報告)
小梅(プロフ) - 莱都さん» 少々複雑ですが、そう言っていただけると嬉しいです笑 (2017年1月5日 12時) (レス) id: b13ebfc049 (このIDを非表示/違反報告)
莱都(プロフ) - 悶えてたら親にキモがられました笑 (2017年1月4日 17時) (レス) id: df90fb3b12 (このIDを非表示/違反報告)
小梅(プロフ) - 莱都さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて、とても嬉しいです。これからも可愛いと思っていただけるようなユーラチカを書いていきたいと思ってますので、よろしくお願いします。 (2017年1月4日 17時) (レス) id: b13ebfc049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小梅 | 作成日時:2016年12月11日 0時