13話 ページ15
ユーリside
昼食を終えた俺たちは、屋上を出た。
あと5分で授業開始らしい、ヴィクトル以外は少し焦ってる様子だった。
クラスまで行ける気がしねぇ…。
正直、テキトーに走って逃げてきた末に着いた場所がこの屋上へ続く階段だ、どのように来たかなど覚えている方がすごいと思う。
ここから中等部と高等部が分かれる、まあ自力で頑張りゃなんとかなるだろ、
そう思っていた時だった。
『俺、ユーリくん送ってくるよ。どうせ帰り道なんて覚えてないんでしょ?』
Aが、口に手を当てクスリと笑ってこちらを見やる。
あのデブは、知らなかった、みたいなあほ面してて、ヴィクトルは、俺が送ってくよと言っていたが
『いや、いいよ。俺、ユーリくんと話してみたかったんだ。
ヴィクトルと勇利は、ユーリくん案内してて俺が遅れるって、先生に伝えておいてよ。』
…なんか、こいつの母親が聖母である理由がわかった気がした。
『よし、じゃあ行こっか。』
さっきまで二人に向けて手を振っていた手で、俺の手を握られる。
うぉ、なんかあったけぇな。
…手を繋ぐのは、爺ちゃん以来だ。
屋上で冷えてしまった手が、彼の手を握ることによって徐々にあったまっていく。
思わず手に力も込めてしまった。
『ありゃ、ユーリくんって結構甘えんぼな方?あ、いや、弟みたいで可愛いんだけどさ。俺、一人っ子だし。』
ユ「あ"ぁ?!……勘違いするなよ!今はちょっと手が冷たいから握ってるだけであってだな!」
『はいはい、わかったから声もうちょっと抑えてよ。俺たちタダでさえ遅刻してるんだからね?』
あぁ、クスリと笑われたあの瞬間から、Aに完全に舐められてる気がする…。
というか、弟扱いがあからさま…?
ユ「…俺を弟扱いすんな。」
『わかってるよ。ごめんね、ちょっとからかいたくなっちゃったんだよ。後輩と話したことなんてほとんどなくてさ、出来心だから許して?』
俺の言動にいちいち微笑んで返して来やがって、やっぱり舐められてる!!
ユ「…ッチ、クソが……。」
『もうそろ許してよ〜、あ、2-Fはココだよ。それじゃ、じゃあね。授業がんばって!』
さっきまで繋いでいた手をパッと離し、今度は俺に向かって振ってくる。
少し名残惜しく感じる左手を軽く握っても、先ほどまであった暖かい手はもうすでに無い。
ユ「おう……ありがとう。ダスビダーニャ。」
『うん、ばいばい。あ、ちょっと待って!』
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小梅(プロフ) - 無気力系塩キャラメルさん» コメントありがとうございます。更新停止してしまい、本当に申し訳ありませんでした!更新できない間、まだ出ていないキャラクターと主人公との関係性やストーリー構成を考えることができたので、これからも小説更新に勤しみたいと思います。 (2017年2月20日 21時) (レス) id: b13ebfc049 (このIDを非表示/違反報告)
無気力系塩キャラメル - 合格おめでとうございます!続きが読めることがとても楽しみです!更新頑張ってください! (2017年2月20日 21時) (レス) id: c1b4f14014 (このIDを非表示/違反報告)
小梅(プロフ) - 莱都さん» 少々複雑ですが、そう言っていただけると嬉しいです笑 (2017年1月5日 12時) (レス) id: b13ebfc049 (このIDを非表示/違反報告)
莱都(プロフ) - 悶えてたら親にキモがられました笑 (2017年1月4日 17時) (レス) id: df90fb3b12 (このIDを非表示/違反報告)
小梅(プロフ) - 莱都さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて、とても嬉しいです。これからも可愛いと思っていただけるようなユーラチカを書いていきたいと思ってますので、よろしくお願いします。 (2017年1月4日 17時) (レス) id: b13ebfc049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小梅 | 作成日時:2016年12月11日 0時