手を差し伸べてくれたのはあなたでした【3】 (ページ3)

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実咲side

私は家を出て
やっと1歩前に踏み出せた気がした。

でもあの時…みんなが助けてくれなければ…
今頃、どうなってたかわかんない…。
考えるだけでまた恐怖を感じる。

けどね…翔平に言われた事も間違ってないの。
確かに暴力はダメかもしれない。
でも暴力を振るわせちゃったのは…私のせいだよ。

翔平に黙って嘘ついてライブ行った事も
ファンを辞めると言って、全然辞めれなくて騙してしまったことも…ホントのこと。

だからみんなに翔平が言ってた事はホント。
でも…それでも守ってくれる皆がいて
嘘つかれてもいい、俺が大切にしますと言ってくれる大好きな人がいて、すごく嬉しかったけど…
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

みんなにちゃんと説明しなきゃ…
でも嫌われたくないし、皆のそばに居たくて…
ずるいけど…素直にそんな事は言えなくて…
少し落ち着いてからちゃんと話そう…そう思った。

．

．

帰る家なんてないし…
当分ホテル暮しかなと思ってたんだけど
歩美が私を泊めてくれるみたいで…
みんなで歩美の家に向かうことになった。

亜嵐くんが俺んちにも来ていいからねって
言ってくれた時…嬉しくて仕方なかった。
正直…その言葉に甘えてしまいたいと思った。
でもそんな事は口が裂けても言えないよ。

龍友くんや隼くんに変態呼ばわりされちゃってて…それがすごく面白くて…笑っちゃった。
亜嵐くん本当にありがと。

．

翔平から腕を引っ張られた時に…
腕を悪化させちゃったみたいで荷物持つのが…
正直辛くて…それに気づいた玲於くんが
荷物を持ってタクシーに連れてってくれた。

今回のタクシーは玲於くんと歩美と3人になった。
痛みが全然治まらなくて…ずっと無言だった私に

玲於「実咲？腕痛くない？まじ心配なんだけど」

いつも玲於くんは気づいてくれる…

「うん。大丈夫大丈夫!!明日になれば治るから」

玲於「やっぱり痛いんじゃん。嘘つくなよ」

あ…また私嘘ついちゃったんだ…。

「ごめんなさい…玲於…私って嘘つきなんだ。」

玲於「実咲…旦那に言われた事気にしてんの？でもお前の嘘は…人のためにつく嘘だろ。今だって…本当は腕が痛いのに…心配や迷惑かけたくないから大丈夫って嘘ついてるだけだろ。俺の言い方も悪かったよな。ごめんな。」

「人のためでも嘘は嘘だよ。」

玲於「人のためにつく嘘は…時には人を幸せにする事だってある。だから全てが悪い嘘だと限らない。だから実咲はそのままでいい」