鶴蝶 ページ7
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ーーーあの日記を隅々まで読んだからか、睡眠不足で凄く眠い。
ふわぁ、と大きな欠伸をして、私は目尻に涙を滲ませた。
「眠い……」
そう呟き、服の袖で目尻を拭う。
眠気からか微かに霞む視界の中、私は食材を買いにスーパーへと歩いていた。
朝冷蔵庫を覗いてみたら、冷凍食品以外見事に空っぽだったのだ。
私の見立てでは、多分冷凍食品を手料理と偽って竜胆に食べさせていたんだと思う。
「ふぁぁ……」
また欠伸が出た。
眠気を吹き飛ばすため、パチパチと瞬きをする。
すると、
「い゛っ!!!?」
突然目に激痛が走り、思わずボロっと涙が溢れた。
え!!?いや、ちょ、痛ッッ!!!
何が起こったんだと涙で歪む視界の中考え………そして、自らの瞳に影を落とす、重量のありすぎるフサフサのそれに気がついた。
そう、それは私のまつ毛だった。
昨夜鏡を見て衝撃を受けたが、この体は金髪碧眼の超絶美少女だ。
つまり、まつ毛もバッサバッサと生えている。
輝く金色のまつ毛は量が多く長さもあり、空を向いてくるりとカールしているさまは可愛らしいが、目に入るとそりゃあもう凶悪だ。
今それを経験している私は、このまつ毛を取る方法が全くもって思い浮かばなかった。
「うっ…ぐすっ…いや、マジで涙止まんない……っ」
涙を流していると、自然と声も涙声になっていき、私はズズッと鼻をすすった。
マァしかしこんな往来で泣くわけにもいかず、私は近くにあった公園へと入った。
「ベンチ……あ、あった……」
丁度良くベンチを見つけ、そこに座り込む。
ボロボロと止まらない涙に、逆に笑いが込み上げてくるが、痛いものは痛い。
ポケットからハンカチを取り出し、まつ毛の入った右目に当てる。
一応涙が流れる左目も服の裾で拭っておき、私はまつ毛が流れ落ちて涙が止まるまで、その公園で待っていようと思ったのだった。
「ぐすっ……ぅ………」
目にまつ毛が入っただけなのに、いやに悲壮な感じの涙声になってきている。
こんな所を竜胆に見られたら、何か聞かれそうだな……。
とか思いつつ、手でぐしぐしと目を擦った。
すると、
「………………A?」
何処からか私の名前を呼ぶ美声が聞こえた。
「え?」
声の聞こえた方を振り返ると、そこにはオッドアイの瞳と、左目に走る古い傷跡が特徴的な美青年がいた。
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みるく - あばばば……『確蝶』じゃなくて『鶴蝶』でした……!!報告ありがとうございます!今すぐ直しますね! (2022年5月18日 21時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - かくちょーって鶴蝶だった気がするんですが、違ったらすみません。お話面白いです!これからも頑張ってください!! (2022年5月18日 20時) (レス) @page9 id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 夢主ちゃんにはもっともっと叫んでもらう予定です(笑)更新頑張りますねー! (2022年5月17日 16時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 夢主ちゃんの心の叫びが面白くて好きです!(笑) 更新楽しみにしています♪ (2022年5月17日 12時) (レス) @page3 id: 4ca5d78dde (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 好きと言っていただけで嬉しいです!更新頑張りますねー! (2022年5月12日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年5月4日 10時