【キ/ヨ】最近、幼馴染みが冷たくて【男主】 (ページ36)

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33話ただの同期レトside ページ36

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じゃあね、と挨拶を交わして反対方向に歩く。

「……」

暗い道にかかとを擦りながら歩く自分の音が響く。
ひとりで歩く帰り道は、さっきとは違って寂しく感じてしまう。

(あーあ、つまんない)

1人で帰るわけだから静かになるのもつまんなくなるのも当たり前だけど、やっぱり1番に思うことは、

「…やっぱAくんと居ると楽しいよなぁ、」

…って、あ、やべ。

無意識に口に出してた事にはっとして口を押さえて周りを見渡す。
幸い、周りには誰もいなかった。

ほっとして歩き出す。
ふと、お昼の光景を思い出した。

＿＿『レトさんにしか、俺の相談役務まらないし』

思わず歩く足が止まる。

Aくんの少し照れたような顔が頭に浮かぶ。
思い出して顔にじわじわと熱が集まっていく。

だってあんなの、ずるいでしょ。

「っ、」

まるで俺が、Aくんにとって特別な存在みたいに言ってさ。

正直言われた瞬間、頭がお花畑みたいになった。
だって、どうしようもないくらい嬉しかったから。
俺、照れちゃったのちゃんと隠せたかな。
…多分、隠そうと思い過ぎて真顔になったってたかもだけど。

きっとそうしなきゃ、俺は駄目だった。

本当は、そんなAくんを見てあの時思わず出そうになってしまった。

(…可愛い、)

なんて。

…馬鹿だな。俺(相談役)が一番言っちゃいけない言葉なのに。

Aくんの恋を邪魔したくない。
むしろ応援して彼の一番の味方になってあげたい。
俺は、Aくんに幸せになって欲しいと思ってる。

…なのに、

相談役としてAくん励ましたり慰めなきゃいけない俺が、
相談役としてAくんの一番の頼りにならなきゃいけない俺が、

＿＿＿『レトさん』

「……、」

Aくんを好きになってしまうなんて。

「……ごめんね、俺じゃ役不足みたいだ」

それでも、相談役だとしてもAくんの隣に居たいなんて思ってしまう俺は、ずるいだろうか。

好きなんて絶対に言えない。
気付かれても、悟らせてもいけない。
バレてしまったら、Aくんを困らせるだけだって分かりきってるから。

だって俺は、Aくんの笑った顔が好きだから。

「…ふぅ、」

またゆっくりと歩き始める。

大丈夫、明日も俺はただの同期でいる。
『相談役の同期』。それが俺だから。

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