三百二十六番星 ページ6
『う、』
エリザベス「A、Aっ」
エリザベスに名前を呼ばれ、意識が浮上する。
目を開くと、瞳を潤ませたエリザベスと怪訝そうな顔をしたザネリ殿が私を覗き込んでいた。
『終わったのか…』
ザネリ「全く、遅いんだぞ」
エリザベス「中々起きなくて心配したのよ!」
本当に良かった、とエリザベスは私の手を握る。
……温かい。ふと、先程の少女は手が冷たかったなと思う。
『心配をかけてしまったようだな…すまない』
エリザベス「貴女が謝ることじゃないわ。無事に戻ってきてくれれば、それでいいのよ」
エリザベスはにこりと笑い、試練の影響で汗をかいていた私を見兼ねてハンカチを差し出してくれた。
『メリオダスの試練はもう済んだのか?』
ザネリ「鳴呼。彼奴もかなり苦戦していたが……それよりもお前なんだぞ」
腕を組みながら睨みをきかせるザネリ殿。私を見上げる彼女は何時になく深刻そうな顔をしている。
ザネリ「一体、試練で何があった」
『…え?』
私はただ普通に試練をこなしただけだ。それだけでこれ程深刻そうな顔をするだろうか。
ザネリ「私がお前に課した試練は、過去の清算をするというもの。お前はそれをメリオダスよりも早く突破したにも関わらず、目を覚まさなかったんだぞ」
過去の清算ーーー師範を救うこと。頼ることを知ること。つまり、
何を見た、と再度問うてくるザネリ殿を今度は真っ直ぐ見つめる。
『少女に会った。正体はまだ知らなくていいと言っていた。だが、彼女は戦いを知り、戦いに生きていた者だったということは分かる。
私のこの力を知っていて、私がこの力を持つ限りまた会えると言っていた』
ザネリ「………その、少女の容姿は」
ザネリ殿は固唾を飲む。
ザネリ殿は何か知っているのだろうか。私は彼女のことを知りたい。なら、話す以外の選択肢はない。
戸惑うエリザベスを横目に、私は続ける。
『黒曜石のような艶やかな髪で、瞳は私と同じ色。
日焼けを知らない白い肌。凛として、それでいて儚い声をしていた』
そこまで言うと、ザネリ殿は何かが確信に変わったようで目を見開いていた。
まさか彼女が、と呟いて。
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ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ほんとにいつもありがとうございます!!超励みになります😭✨更新不定期なのに待っていてくださって、ほんと感謝です!!!これからもよろしくお願いします〜💖💖 (2023年3月11日 23時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ハートの通知は区切りのいいとき(10個押されました、など)に来るようになってます!誰が押したかはわからないです!いえいえ全然!!こはねさんはいつもコメントくださるので嬉しいです!!コメント1つでハート100個分くらいの嬉しさがあります💞 (2023年3月11日 23時) (レス) @page48 id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - 来るんだったら、私こんなにコメントしてくる癖にハート押さずに終わるなんて酷すぎないか、、!?と思ったところです、、、、。 (2023年3月11日 23時) (レス) id: f36870967d (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - 私続きが気になりすぎて、ハート押さずにすぐ次にいくんですけど、ハート押したらこはねさんがハート押しました的な通知って来るんですかね、、?? (2023年3月11日 23時) (レス) @page47 id: f36870967d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» この終わり方自分的に大満足だったのでそう言っていただけて嬉しいですෆ この先ちょっとストーリーが精神的ダメージ大きいので…何回か書き直すかもです……。どんどん更新していきますね!コメントありがとうございます⸜(*ˊᵕˋ*)⸝ (2023年3月9日 23時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2022年8月16日 13時