三百二十五番星 ページ5
此処は何処なのだろうか。これもまた試練か?
それよりも……
『お前は、何者だ』
「貴女はまだ、知らなくていい」
落ち着いた声がその場に木霊する。
だが、そんな透き通る声とは裏腹に、口調は冷たく淡々としている。
下の方で緩く一つにまとめられた髪は、黒曜石のような美しさを持つ。偶然か、瞳は私と同じ色をしていた。
そのハッキリとした色の瞳と髪が、白い彼女の肌を際立たせている。
鳴呼、なんて綺麗な人なのだろう。
柄にもなく見入ってしまった。
彼女の視線と、私の視線が絡み合う。
「貴女はまだ、その力の使い方を分かっていないのね」
『……その通りだ。
どのような力なのかすら、自分でも分からない』
そう、と答えて彼女は考え込む。
その仕草全てが美しい。
瞼を伏せるのも、動く度に揺れる髪も、きゅっと結ばれた唇も。
女の私でさえこれ程見入ってしまうのだ。相手が男だったら即座に心を掴まれていただろう。
そしてまた、彼女と視線がかち合う。
「魔力も、貴女の言う呼吸と同じ。
必殺技なんかじゃなくて、身体機能の一つ」
『!!』
彼女の言葉が、すとんと胸に落ちてくる。
「分からないから怖いの。誰かを傷つけるんじゃないかって。だから、知るの。少しずつ自分のものにしていくのよ。
……戦いってそういうものでしょう?」
『鳴呼、その通りだ』
目を細め、妖艶な笑みを零す彼女に頷く。
呼吸も、魔力も、自分のもの。特別なものだと考えるから難しい。
自分の手を動かすように、走る為に足を動かすように、一つ一つこなして慣れればいいのだ。
彼女もきっと、私と同じ。
私の頬に添えられた手は細いが、皮膚が硬い。戦場を生き延びてきた者の手だ。
その手の感覚が、少しずつ消えていく。
「貴女がその力を持つ限り、仲間を助ける為に戦い続ける限り、また会える。会いに来る。
_____メリオダスとエリザベス様によろしく」
『えっ……?』
微笑む彼女を最後に意識が途切れた。
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ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ほんとにいつもありがとうございます!!超励みになります😭✨更新不定期なのに待っていてくださって、ほんと感謝です!!!これからもよろしくお願いします〜💖💖 (2023年3月11日 23時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ハートの通知は区切りのいいとき(10個押されました、など)に来るようになってます!誰が押したかはわからないです!いえいえ全然!!こはねさんはいつもコメントくださるので嬉しいです!!コメント1つでハート100個分くらいの嬉しさがあります💞 (2023年3月11日 23時) (レス) @page48 id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - 来るんだったら、私こんなにコメントしてくる癖にハート押さずに終わるなんて酷すぎないか、、!?と思ったところです、、、、。 (2023年3月11日 23時) (レス) id: f36870967d (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - 私続きが気になりすぎて、ハート押さずにすぐ次にいくんですけど、ハート押したらこはねさんがハート押しました的な通知って来るんですかね、、?? (2023年3月11日 23時) (レス) @page47 id: f36870967d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» この終わり方自分的に大満足だったのでそう言っていただけて嬉しいですෆ この先ちょっとストーリーが精神的ダメージ大きいので…何回か書き直すかもです……。どんどん更新していきますね!コメントありがとうございます⸜(*ˊᵕˋ*)⸝ (2023年3月9日 23時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2022年8月16日 13時