三百二十二番星 ページ2
『申し訳ない、急ぎの用を思い出した。これにて失礼させていただく』
「えーっ!もうちょっと居てよぉ」
「こらお前達。
……いえ、謝らないでください。忙しいのに御付き合い頂き、ありがとうございます」
夕餉を最後まで頂くことが出来ないのは残念だし、折角作ってくれたのに申し訳ない。だが、此処で行かなければ私はまた後悔する。この記憶に一生縛られ続ける。
まだ居てと私にしがみつく子供達をあやす父親。母親はこんな時でも凛としている。
『ご飯、美味しかったです。
近くを通りかかったら、また寄ってもいいですか?』
「ふふ、勿論です。何時でもいらしてくださいな」
小さく笑うその姿は、銀髪のあの子にそっくりだ。
もう、師範に死なれるのは御免だ。早く行かなければ。早く行って、助けなければ。
・
・
『はぁ、はぁッ……もう居るのかよ…!』
私の全速力で屋敷に向かって走る。
半刻程かかってやっと着く。
屋敷に近づくにつれ、戦いの音が大きくなる。血の匂いが強くなる。
我が師、夜凪零。
独りだった私に姓を与えてくれた。師であり、親のような存在でもある。
師範は数年前、上弦との戦いで肺が傷つき、ろくに戦うことが出来ない。呼吸を使うなんて以ての外、自分の首を絞めるような行為だ。
屋敷に入り、駆け回る。
鬼だけじゃない…師範まで居ない!
……何故。
音はする。気配も、血の匂いもする。
鬼の血鬼術か。
よく見ろ、よく探せ、よく感じろ。
『…………見つけた』
師範がいつも大切にしていたもの。
それに近づくと、私の手は吸い込まれていく。
入れる事がわかった私は、鏡の中に飛び込んだ。
『師範ッ!!』
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ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ほんとにいつもありがとうございます!!超励みになります😭✨更新不定期なのに待っていてくださって、ほんと感謝です!!!これからもよろしくお願いします〜💖💖 (2023年3月11日 23時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ハートの通知は区切りのいいとき(10個押されました、など)に来るようになってます!誰が押したかはわからないです!いえいえ全然!!こはねさんはいつもコメントくださるので嬉しいです!!コメント1つでハート100個分くらいの嬉しさがあります💞 (2023年3月11日 23時) (レス) @page48 id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - 来るんだったら、私こんなにコメントしてくる癖にハート押さずに終わるなんて酷すぎないか、、!?と思ったところです、、、、。 (2023年3月11日 23時) (レス) id: f36870967d (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - 私続きが気になりすぎて、ハート押さずにすぐ次にいくんですけど、ハート押したらこはねさんがハート押しました的な通知って来るんですかね、、?? (2023年3月11日 23時) (レス) @page47 id: f36870967d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» この終わり方自分的に大満足だったのでそう言っていただけて嬉しいですෆ この先ちょっとストーリーが精神的ダメージ大きいので…何回か書き直すかもです……。どんどん更新していきますね!コメントありがとうございます⸜(*ˊᵕˋ*)⸝ (2023年3月9日 23時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2022年8月16日 13時