【WT】顔も知らぬ貴方から【Kiriyan】 (ページ3)

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side Kiriyan

「めちゃくちゃ丁寧な文面だ〜・・・でも良かったじゃん、振られて無くて」

「まぁいいけどさ・・・俺どんな顔して旧校舎行けば良いんだよ〜・・・」

まさかの返答で驚いた。てっきり振られるかと思っていたが、そもそも俺を知らないから一度会ってから決める、という事らしい。
やば・・・絶対午前中の授業集中出来ねぇわ。

「お前悩み過ぎだな、乙女かよ」

「悩むのは仕方無いだろ！どれだけ俺が苦悩してると思って・・・」

「午前中頑張れ」

「絶対集中出来ん」

.
午前中の授業が終わり、昼休み。
知っての通り俺は全く集中せずAさんの事ばかり考えていた。
幸いにも、先生に指名はされずに済んだ。
約束の時間まで時間があるので、Nakamuと一緒に弁当を食べている。

「良かったじゃん、指名されなくて。絶対Aさんの事考えてるだろうなーって思いながら授業聞いてたよ」

「指名されてたら多分ヘマこいてたわ。そもそも同じクラスじゃないから俺の失態は見られない」

「好きな人にはカッコいい所見せたいっていう謎のプライド？」

「それもあるかもしれない」

「あ！きりやん時間！！」

「え！？ヤバいって！！此処で恥晒しなんてしたくない！！」

Nakamuに言われて時間を見ると、なんと13時6分。約束の時間まであと4分しかない。
急いで弁当を片付け、階段を駆け下りて旧校舎へと向かう。
余裕もっておけば良かったなぁと今更しても遅い後悔をしながら教室のドアを開ける。

「し、失礼しま〜す・・・」

と、控えめに挨拶を入れて教室へ入ると、机の上に座って携帯を見るAさんが居たのが確認出来た。

『あ〜・・・黄島さんか』

なんて言いながら携帯を仕舞って此方を見るAさん。
Aさんは俺を見たかと思うと、何故か急に硬直した。

『え、あの人、だ・・・知ってる・・・』

Aさんは何の話をしているのだろうか。俺とAさんは直接的な関わりは無かった、筈。
ましてやAさんが俺を知っているなんて言い出した。

「えっと・・・失礼な事を申し上げますが、Aさんと俺って直接関わった事ってありましたっけ？てっきり俺の方だけがAさんを知っていると思っていたんですが」

『・・・・・・記憶に無いのでしたら良いですよ。貴方の顔が確認出来たので私は満足です』

「そ、そう・・・ですか・・・」

いざこうして好きな人と二人で会話ってめちゃくちゃ緊張するなぁと実感した時間でした。