【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ8)

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急に後ろから声をかけられたので思わず振り向くと、蒼がいた。

『一緒に帰る人居ないからどうしようかなって思ってさ。野球部は今日部活無いの？』

「一昨日、昨日って大会が続いてたから暫くは部活無いって言われたんだけど俺も帰る人居ないんだよね」

『じゃあ一緒に帰る？』

「・・・良いよ」

久々に蒼と話したので、会話が弾む。
・・・ん？そういえば蒼って私と帰る方向同じだった・・・？
真逆だった記憶があるんだけど・・・

『蒼』

「なに？」

『蒼って私と帰る方向同じだったっけ、真逆だったと思うんだけど』

私がそう問うと、蒼は何か言おうと口を開いていたが、すぐに口を噤んでしまった。

「・・・引越したの」

『まぁそう言うなら・・・』

「あ！あそこ新しく出来たカフェなんだって！行こ！」

相変わらず落差が激しいな。
今日は予定も無いし、お金も少し余裕があるから寄ってもいいかな。

『いいよ、行こうか』

蒼はルンルンしながらカフェの中に入って行ったので、私も着いていく。

カフェの中は木やコーヒーの匂いが香って来て、如何にもカフェという感じだった。
私と蒼はカウンター席に座ってメニューを見る。

蒼は甘いものが大好きだが、対照的に私は甘いものがあまり好きでは無い。
軽いサンドイッチと紅茶にしよ。

頼むものが決まったので、店員さんにコールをして注文をする。
少しして店員さんが此方に注文を聞きに来たので、各々注文したいものを伝える。

『サンドイッチと紅茶をお願いします』

「ショートケーキとウインナーコーヒーで！」

店員さんは「かしこまりましたー」と言って別の客の所へ向かって行った。

「Aもケーキにすれば良かったのに」

『甘いもの好きじゃないから』

「俺の友人にも甘いもの嫌いって言ってるヤツ居るんだけどさ、俺からしたら嫌いな理由が分かんない」

『蒼は苦いコーヒーとか嫌いでしょ？それと同じ事だよ』

蒼はふーん、なんて興味がなさそうに返した。