【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ18)

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そしてプツリと通話を切る。
まさか笑琉が来るとは思っていなかった。
彼が花に対して興味を持っているのか、はたまた別の理由があるのかは私には分からないが、兎に角私は彼を待つ事にした。

彼を待つ次いでに、携帯でネットサーフィンをする。
本当に最近の記事って芸能人の話題に関するものばかり。
マスコミもそれに釣られて見るファンも何もかも滑稽に見えてくる。

はぁ、と溜息を一つ零して携帯をスリープモードにした時、丁度いいタイミングで待ち人がやって来た。

「何、ずっとこんな寒い中此処で待ってたの？絶対中に居た方が暖かいだろ」

『・・・寒くない』

「嘘つけ、耳とか手真っ赤だぞ。Aが寒さに弱い事俺は知ってるからな」

『・・・騙せないかぁ。私もう寒くて凍えそうだから早く中入ろう』

「はいはい・・・」

公民館の中に入ると、いつもは何も無く質素な空間だったのが、今は壁に装飾が施されていたり、勿論ではあるが大きい花瓶に何本もの花が挿されていたりしていた。

その花たちの中には、私ですら知らなかったり見た事のない花もズラりと並んでいる。

私は見た事のない花に興味を惹かれ、色々と見回ってうろうろとしているが、対照的に、笑琉はたった一つの花に焦点を充てていた。

私はまじまじとその花を見つめる笑琉に近寄り、話しかける。

『この花に興味があるの？』

「まぁ。Aはこの花知ってんの？」

『確か“ニゲラ”だった気がする。和名は“黒種草”』

「・・・ほーん。この黒種草って花言葉みたいなやつあんの？」

『あるんじゃない？私は花言葉までは知らない。自分で調べたら？』

本当はニゲラの花言葉なんてとっくに知っている。
でも私からは言いたくなかったから。
敢えて言わなかった。

私が調べてみれば、と促すと彼は携帯を開いて黒種草の花言葉を調べ始めた。

軈て彼が調べ終わり、携帯をしまったが、彼の表情は心做しか暗いように見えた気がした。

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黒種草(ニゲラ)の花言葉
当惑、困惑、深い愛、不屈の精神、夢の中で会いましょう、夢の中の恋、密かな喜び、霧の中の恋