【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ5)

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『やっぱり凛には敵わないな、ごめん、私の話聞いて欲しい』

「当たり前でしょ！」

凛に先程考えていた事を話すと、彼女は黙って頷きながら話を聞いてくれていた。

「や〜青春楽しんでるねぇ〜A」

話し終わった途端コレ。あんたは私の親なの？
凛がそんな事で話を終わらせる事は無いからね。
ちゃんと助言してくれる事は知っている。

「で、告白すんのが怖い訳ね」

『・・・うん』

「ん〜・・・そういえば花も添えて渡すって言うか伝えるんだったよね。花束の中にメッセージカード的なもの入れて渡す、とかは？」

『あ、それいいかも。ありがとうね、凛』

彼女は満面の笑みで｢どういたしまして｣と言った。
凛は私の為にここまで助言をしてくれたり、親身になって話を聞いてくれたりした。
私も凛の期待を裏切る訳には行かない。

.

暫くの時が過ぎ、11月。
教室の窓から山やクロスカントリーのコースが見えるのだが、そこには沢山の自然が生い茂っている。

例えば、春なら蒲公英や蕗、桜。
夏なら葉桜、向日葵、紫陽花。
秋なら椛や楓、銀杏。
冬なら椿、イチゴノキ、山茶花。

そして今は秋、紅葉が一番綺麗に見える時期。
今日は休日、別に部活があったから来た訳ではない。

紅葉を間近で見る為。
顧問の先生やクロスカントリーの管理人の先生に許可を得た上で見に行こうとしている。

凛はカメラを持って来ていて、凄く気合いが入っているのが見受けられた。
まぁ、私もカメラやスケッチをする用意はして来ているが。

「よし、A、行くよ！」

準備が整ったので、クロスカントリーの入り口である教師用の駐車場へ向かい、コースを歩く。

地面には枯葉の絨毯が敷き詰められており、歩く度にカサカサと心地よい音が聞こえてくる。
木枯らしも吹いており、風に揺られて木々もしなっていたり、枯葉が風に乗って流されていたりしていた。

その中には楓の種子もあった。
楓の種子は他の種子や葉と違い、普通に流されるのではなく、くるくると回りながら落ちて行くのがとても綺麗なのだ。

「わ〜綺麗！」

『そうだね。あ、凛の頭に椛の葉が付いてる』

その姿がとても面白くて思わずカメラのシャッターを切った。

「何撮ってんの！消して！」

『ごめんって、面白くて』

「ひどいわー・・・あ、茸生えてる！」

凛は茸が生えてる方へ走り出したので、私も凛を追いかける。
そこには茶色の茸や赤い茸が生えていた。