【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ15)

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帰る間、私達は何一つ発言せずにずっと沈黙が続いていたが、私は意を決して発言する。

『・・・朝の事、怒ってる？』

「朝・・・？あぁ、Aが先に学校行った話か。怒ってないけど」

彼は無表情のまま、言葉を紡いでいく。

「でも、いつも隣に居て一緒に登下校してくれる奴が居なかったってのは少し気に食わなかった」

『本当にごめん』

「謝る程の事ではないだろ。そもそもの話、怒ってないって言ったし」

彼は「寒いから早く帰るぞ」と言ってまた私を置いてスタスタと歩いて行ってしまった。
少しは気使ってくれたっていいのに・・・

『・・・歩くの速い』

と、私が彼に向かって言うと、彼は大人しく立ち止まり、私を待ってくれていた。

「もう・・・」

『何その待つの面倒臭いなぁって表情』

「待つの面倒臭ぇなって表情だろうが」

そして私達は再び歩き出すが、彼は私の歩くスピードや歩幅を合わせてくれた。

『そういうさり気ない優しさはあるのに何でデリカシーの無い余計な言葉はその口からポンポン出るのか不思議で仕方がない』

「デリカシーが無くて悪かったな」

半ば投げやりでぶっきらぼうに彼はそう言う。
あ、明日の展示会の事、今誘った方がいいかな。

『明日暇？』

「暇だけど・・・何かあんの？」

『明日に公民館で花の展示会あるから一緒に行こうって思った。凛は用事あるから〜って言って行けないみたい』

「はぁ。考えとく」

『一応チケットあげる。行かないなら捨てていいよ』

そして彼は私から貰ったチケットをまじまじと見てから鞄にしまった。

丁度その話が終わった頃には自宅に着いていたので、｢またね｣と軽く挨拶をして各々家の中に入った。

明日、来てくれるかな。
来なかったら笑琉は私に対して私と同じような感情は抱いていないだろう、と気づく事が出来るかもしれない。
用事が無い限りは、の話だが。

然りとて、来てくれたからといって私と同じ感情を持っているとも限らないが。
彼からしたら私は唯の女友達としか見られていないのかもしれない。

まぁ、兎に角彼が来てくれる事を私は望むばかりだ。