【WT】花天月地【Smile】 (ページ34)

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久しぶりに琉唯と会話したかもしれない。

彼とは小学校からずっと一緒だったが、高校に上がってから彼も友達と過ごす時間の方が多かったのか、必要じゃない会話以外の場面では話さなくなっていた。
話すとするなら委員会関連の時くらい。

琉唯は広報委員会、私は報道委員会。
広報と報道は似たような活動内容なので、委員会の集まりの時は一緒に活動報告や反省を行う。

それ以外で話す事は殆ど無かったから今の時間が凄く新鮮に感じる。

br｢なんかこうしてAと話すって結構久しぶりだね〜｣

『そうだね。そういえばなんで路地裏に居るのがわかったの？』

br｢猫のお世話してたら逃げちゃった｣

『あぁ、それで猫追いかけてたのね』

br｢Aのところまで連れてってくれたから本当の救世主は猫だった？｣

彼は冗談を言って｢あはは〜｣なんて笑ってる。
でも、猫も琉唯も私を助けてくれたのには変わりないな。

『・・・ホント、琉唯は中学からそういうとこ変わんないね。琉唯も、猫ちゃんも、ありがとう』

何故か琉唯の声が聞こえなくなったので私の横に目をやったが誰も居なかった。

『あれ？琉唯・・・？』

後ろを振り返ると彼は立ち止まって俯いていた。
琉唯のところまで行き、声をかける。

『琉唯、どうしたの？』

br｢A、ちゃんと僕のこと見てくれてたんだ、って思って｣

『・・・』

br｢僕、小学生のときも中学生のときも、なかなか友達が出来なくてさ。でも、唯一Aだけは友達になってくれて、今も友達のままで居てくれてて。｣

『・・・そう』

彼は暗い表情をしていて俯いていたが、急に決心したかのように顔を上げた。
顔を上げた彼の表情は、いつものへらへらしたような表情ではなく、琉唯には珍しく真剣な顔だった。

br｢でも、僕もうAと友達の儘は嫌だ｣

『え？』

内心私は焦っている。もう琉唯とこうして話せなくなってしまうのだろうか？
絶交はしたくない・・・

すると、彼の口から私の予想を遥かに上回る言葉が聞こえてくる。

br｢友達じゃなくて・・・恋人に、なりませんか？｣

まさか琉唯に好意を抱かれているとは思わなかった。
しかし、彼には申し訳ないけど、私が好きなのは琉唯ではない。

『・・・ごめんね、私好きな人がいるんだ。
その代わり、私と親友になってくれる？』

br｢・・・うん！！｣

彼の表情は、哀愁が漂う雰囲気をしながらも、何処か吹っ切れたような笑顔を浮かべていた。