【WT】花天月地【Smile】 (ページ16)

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#15 ページ16

私と凛の間には暗い雰囲気が漂っていた。
沈黙が続いていたが、そんな居心地悪い雰囲気をぶち破ったのは私だった。

『・・・私、足が完治するまで部活休む。
顧問には私が言う。教室、戻るから』

いつもの｢またね｣という声は掛けず、凛から離れて自分の教室へと入る。

別に凛が嫌いな訳では無い。
でも昔から凛は私に対して異様に過保護であり、そんな凛が気持ち悪くて、凛に対して恐怖感を抱いていた。

ほんの些細な仲違いだった。でも、仲違いのトリガーとなったのは紛れもなく凛だ。

｢私はAに依存してしまっている｣

恐らく当人は口に出ているのが気づかなかったのだろうが、私には聞こえた。

私は凛に対する“気持ち悪い”という思いが加速し、拒絶してしまった。

いつの間にか私は泣いていた。あの時の自分を後悔したってもう後の祭り。
時なんて戻れやしない。

もう嫌だ、なんて考えていると聞き覚えのある声が自分に向けて掛けられた。

sm｢・・・申し訳ないんだが、お前らのやり取り見ていたんだ。｣

『だから何』

私はぶっきらぼうに言葉を返す。

sm｢Aって頼られる性格ではあるけど頼るっていう感じではねぇな、って。
Aは他人に頼ったり縋ったりするのって意外と難しいだろ？｣

まさにそのとおりだ、という意思で首を縦に振る。それを確認し、笑琉は話を続ける。

sm｢人間は他人に縋って生きている。
でも信頼出来ない人間に頼ってなんて言われても頼れないだろ？｣

意味分からない話を続ける笑琉にイライラし、つまり何が言いたいんだ、と伝える。

sm｢Aの親友だかなんなのか知らんが、お前がそいつを頼れないという事はお前はそいつを信頼出来て無いんじゃないのか？｣

初めて笑琉に言われて気づく。確かに私は凛に本当の自分を見せていない。
つまり、私は彼女の事を信頼していないから自分を偽っていた。

『そ、うだ・・・私は凛を拒絶した挙句、信頼もしていない・・・私って最低だ・・・』

そんな自分に嫌気がさしてきた。

『でも、凛と暫くは顔合わせたくないな・・・部活も足が完治するまで参加しないし。一緒に帰る人居ないなぁ・・・』

もうこの際凛と仲直りするまでは笑琉と帰るか。別に一緒に帰る人なんて方向が同じであれば誰でもいいし。

『笑琉って部活何？』

sm｢なんだよ急に・・・吹部だけど｣

『凛以外に友達居ないから一緒に帰る人居ないなって』

sm｢・・・良いけど｣

『ありがとう』

お陰で少し気が楽になった。