悪役令嬢に転生！ (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:337 hit

モノローグページ2

ここは都会のレストラン。
｢菜々帆、私と慎吾さん、今度結婚するの。来てくれるわよね？｣
私──大葉菜々帆は、私の友達、福井里奈に渡された封筒を受け取った。
｢なんで私が行かなきゃ行けないの？｣
浮かんだ疑問をそのままぶつけると、里奈は笑顔を少し引き攣らせた。
｢なんでって……菜々帆は私にとっても慎吾さんにとっても大切な人だからよ。彼も『菜々帆のおかげで大学受験に成功できた』って言ってたし……｣
｢アイツが受験に成功しようとしまいと、私には関係ないわ。だって私の方が能力高いもの｣
私はポイッとその封筒を投げた。パサッと床に落ちる音が聞こえる。
｢アンタねぇっ！｣
ガタッと音を立てて里奈は立ち上がる。
店内にいた他の客が何事かとこちらを見た。
同行していた別のふたりが慌てるが、私はピクリとも動じない。
｢どうせ、嫉妬してるんでしょ？あたしが彼をとったって！でも違う。あんたはいいって言ったじゃない。友達でしょ？来る位いいじゃない！｣
｢アンタは大分勘違いしてるようね。その友達の彼氏を奪った挙句『結婚式に来て』？ありえないわ。｣
里奈がぐっと言葉につまる。
｢それにアンタ、自分の地位を上げてチヤホヤさせられたいからって、友達を嫉妬に狂った女扱いするのはよくないと思うわ。｣
里奈がまたぐぐっと言葉に詰まったのを見て、私は｢フッ｣と軽く笑うとカバンを持って立ち上がった。
｢今日は何も食べてないし頼んでないもの。お金を払う必要は無いわよね。その招待状、別の誰かに渡したら？｣
そう言って私は店を出た。
˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩☪︎⋆｡˚✩˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩⋆｡˚✩
家に着き、ソファにゴロンと寝転がる。
｢ハァ、イライラする。こういう時はネットでスカッとする物語を読むに限るわね。｣
私はスマホで大好きな恋愛小説『愛するアイツら』を読んだ。
｢全く、アリル！そーゆー浮気性の男はすぐにフッちゃえばいいのに！私だったらすぐフルわ！｣
物語に感情移入しすぎてひとりで怒鳴り始めた。
すると頭の中に腕を組んでイチャイチャしてる里奈と慎吾の姿が浮かび、私はさらにイライラした。
｢あーもう、全然スカッとしない。もう寝ちゃえ｣
目を閉じて寝ると、深い深い眠りに落ちた。
とても深かった。
もう、現実の世界には戻れないような……
そんな気がした。