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＊
｢そんな……｣
青い教師は絶望したような顔で呟いた。
少し離れた場所に倒れている人達も同調するかのように口を開く。
｢ッ、本当です……コイツの蹴ったボールで……！｣
｢こんな奴1人にやられるなんて……｣
｢何でだ……｣
正義感が強いのか、負けたのが悔しいのか……再び1番近くに居た人が声を荒げる。
よく見たら緑色のキャプテンマークを付けている彼は腕を抑えて悔しそうに剣城を見ていた。
｢何故こんなことをする！｣
｢サッカーなど必要ない。だからこの俺が潰す｣
ひゅ〜かっこいい！なんて茶々を入れたら、きっと剣城は怒るだろうな。
空気を壊したくないから言わないけど。
一方、そんな剣城の宣戦布告のような台詞を聞いた……松風は眉を八の字にしながら剣城を見ていた。
｢今日限り、サッカー部は廃部だ｣
｢今までお疲れ様〜｣
そう、これがあたし達に課せられた任務だ。
サッカー部を壊せなんて割と酷なこと言うなぁとは思ったけどね。
誰かさんにそっくりだったから何も言わなかった。
まあ、あたしはあの子の手伝いみたいなもんだけど……
Aが中立するって言うなら中立するし、コイツらをボコボコにするってんなら死にかけるまで潰す。
それがあたしの中のルール。
｢廃部って！｣
｢そんなこと、出来ると思っているの！？｣
剣城の思わぬ発言に、松風の瞳が見開かれる。
青い教師は相も変わらず声を荒らげている。信じられないんだろうね、そんな急に言われても。
｢出来るさ、この俺にはな｣
そう……京介、というかあたし達にはそれが出来る。
何故なら……嗚呼、これは今言うことじゃないな。
｢何かサッカー部に恨みでもあるの？｣
｢恨み？……さぁな｣
きっとAなら｢そんな訳ないじゃん！サッカー大好きだもん！｣……なんて言うだろうな。
まあ……やらなきゃいけないことってのがあるわけだから、そんな簡単にも行かないか。
｢サッカーに……恨み……？｣
｢ただ、一つ言えることは……｣
すっと手で数字の1を表した剣城は、そのまま足元のボールを力強く蹴った。
｢サッカーなんてくだらねぇ物は、必要ねェ！！｣
ボールは綺麗な放物線を描いて、遠くに配置されていたゴミ箱に綺麗に入った。
いやぁ、必要ないものはゴミ箱に捨てましょうなんてよく考えついたよね。
あたしならボール潰す気しかしない。頭のキレる剣城だこと。
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