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＊
あれから7年。
あたしの誕生日に出会った彼女達は、今。
｢ねぇ、またそれ見てるの？｣
｢あたしの思い出だもん｣
部屋の壁に飾られている紙は、7年前のあの日にAがくれたものだ。
あたしはAの体を借りているわけで、当然住む場所も鏡塚家だから、あたし達の部屋に飾らせてもらったという訳だ。
不満そうなAの声に笑って返すと、｢も〜、遅刻しちゃうじゃん｣なんて返ってくる。
傍に置かれた時計を見れば、確かにそろそろ家を出ないといけない時間だ。
｢……で、Aは用意したの？｣
｢誰かさんのせいでまだですよ〜っ｣
｢はは、ごめんって｣
ほら、と体を返せばAは慌ただしく用意を始める。
制服を着て、髪を結って、リボンを結んで。
鏡を見ておかしな所はないか確認して。
カバンを持てばもう準備完了、という所で立ち止まった。
｢……ねえ、杏仍｣
｢ん？｣
大きく深呼吸した彼女は、あたしの名前を呼んだ。
その間何をするでもなく静かに次の言葉を待つことしかできないのが少しもどかしい。
｢……今年も、お誕生日おめでとう！｣
｢ん、ありがとう｣
今日はあたしの誕生日なのに、まるで自分の事のように嬉しそうに。
Aはそう告げた。
不確定な誕生日を毎年凝りもせずに祝うんだから、Aは本当にいい子だ。
嬉しいって思ってるくせに、ありがとうしか言えない自分が嫌になるくらいには。
……ねえ、A。
｢あ！そういえば今日って京介達とも初めて出会った日だよね！｣
あたし、ちゃんと終わりの時まで一緒にいるからさ。
｢お祝いしようかな〜！あっ、でもカップルでもないのにウザイって言われるかな？｣
｢そんなことないんじゃん？あれでも剣城、割とAのこと気に入ってるよ｣
ずっと見守ってるからさ。
｢嘘だぁ、あんな塩対応なのに！｣
｢そういう奴だよ、どう見ても｣
……それまで、元気なAを見せてよ。
｢京介おはよーっ！今年もよろしくね！｣
｢はよ……って、新年でもないのに何だよ｣
｢えへへっ、秘密ー！｣
あたしがいる場所で、笑ってて？
｢はぁ……早く行くぞ｣
｢うん！｣
2人の話し声が聞こえてきて、思わず笑ってしまう。
なんだかんだ君が楽しそうでよかったよ。
……さて、こんなに楽しい時間が終わるのは何時なんだろうね？
｢今日も帰りに病院寄ろうね！｣
｢ああ｣
2人の話し声を横に、そっと目を瞑った。
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