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＊
｢理解したか？お前が憧れている雷門は、所詮この程度だ｣
｢……感情的になりすぎなんじゃない？｣
私の言葉を無視した京介に文句を言ってやろうと口を開くと、その前に聞こえたのは諦めの声だった。
｢もう、だめだっ｣
腕を押えて立ち上がった彼は、そのままコートの外に向かう。
｢アイツら俺達に怪我させてでもサッカー部を奪う気だ｣
｢待てよ、水森っ！どこ行くんだよ！｣
｢俺辞めるよ｣
｢戻れ水森、水森っ！｣
神童さんの必死な呼び掛けも虚しく、水森と呼ばれた人はそのままコートを出ていってしまった。
｢くそっ……今度こそ、皆潰される……！｣
｢！……皆が、潰される｣
神童さんの言葉を繰り返す天馬の足元に転がったボール。
挑発のつもりだろうけど、あんまり意味ないんじゃないかな。
決意を決めたらしい天馬は、ドリブルしながら走り出す。
｢行くぞおぉっ！！｣
貴崎さんのスライディングをその場で避けて、どんどんゴールに向かう天馬。
抜かれていく黒の騎士団の皆は信じられない！といった顔で天馬を見た。
……が、天馬はゴール手前で180度回転して戻ってくる。
それを続けるつもりなのだろうか。
雷門の人達がボールを回すように声をかけても、気にも止めずに走り抜けていく。
さっきのやられっぱなしだった天馬からは想像もつかない凄いプレー。
暫くそれを追いかけるように見ていたけど、そんな時間も長くはなく。
京介の号令であっという間に囲まれてしまった。
｢もう逃げられないぜ？｣
｢くっ……｣
FP全員に囲まれてしまった天馬は悔しそうだが、正直ここまで来たら取る気なんて湧かない。
｢凄いね、そんな凄いドリブル隠し持ってたなんて！｣
天馬が走ってるタイミングで奪えば良かったなぁ、なんて笑ってみせる。
雷門のファーストチームでさえろくにドリブルするタイミングなんて無かったのにこれだもん、きっといい勝負が出来るだろうな。
｢松風天馬……その顔、気に食わねェ｣
ふと、さっきまで黙っていたはずの京介が天馬に向かって歩き始める。
ベンチにいる黒木さんはそんな京介を見てニヤついている。
……何か、指示を出したのだろうか。
｢下らねぇんだよ、サッカーなんて！｣
その言葉の後に、彼の後ろに形成されていくそれを見て、私は目を見開く。
｢……け、しん｣
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