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｢さぁ、後半開始です！リードされている雷門、どう出るのかっ！？｣
後半が始まり、京介からボールを渡されて前に走る。
真っ先に神童さんがスライディングを仕掛けてきたので 慌てて上に飛んで避けた。
私からボールを奪えなかった神童さんは、すぐに立ち上がって再び走り出した。
｢うおぉっ！！｣
｢……｣
その場から動かずにいると 何度も何度も立ち上がってはボールを奪おうとするので、その分ただ避け続けた。
暫く続けてみても神童さんの足元にボールが転がることはなくて。
私は特に攻撃なんてしてない……と思うのに、バランスを崩して地面に倒れ込んだ神童さん。
もういいかな、と思ってスタートの位置から1歩も動いていない京介にボールをパスすれば そのままダイレクトシュートを決めた。
｢ほっぺ汚れてますよ？｣
｢……ッ！！｣
ゆっくり立ち上がる神童さんのほっぺをポケットから取りだした新品のハンカチで拭いてあげれば、眉をひそめられてしまった。
あ、もしかして私のハンカチが肌に合わなかったとか？
それなら悪いことをしたかもしれない。
後半が始まったばかりだと言うのに、点数はすぐに増えていく。
ちらっと黒木さんの方を見てみれば、満足気な表情をしていた様な気がした。
｢……そろそろ諦めてもいいと思うんだけどなぁ〜。
こんなに痛い思いしたって、残るのはサッカー部がなくなったっていう消失感だけなのに｣
｢俺達に勝つことなどありえない。お前達のサッカー部は終わりなんだよ｣
肩で息をしながらもなんとか立ち上がろうとする神童さんは、京介の｢終わり｣という言葉に反応した。
もうこの時間も終わるのかなぁ。
そう思っていた時、力強い声が聞こえた。
｢サッカー部は終わらない！｣
声のする方には、怪我ひとつない天馬の姿。
そういえば……ここに来てから天馬が倒れるところを見ていないような気がする。
屋外グラウンドでは、散々だったはずなのに。
｢雷門サッカー部は誰にも渡さない！
絶対に！｣
｢じゃあ奪ってやるよ！！｣
そんな天馬のまっすぐな言葉が逆鱗に触れたのか、ボールを使って手前の2人以外を攻撃していく。
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