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＊
｢ぐわぁ〜っ！｣
少しの間は頑張ったものの、あっという間にゴール。
これで0-2か……結構早いな。
どうやらGKの名前は三国さんと言うらしい。
ボールを受けとめ損ねた三国さんの名前を呼びながら駆け寄る人が見えた。
｢フッ、名門の名が廃るぜ。
情けねぇよなぁ？｣
煽られた神童さんは、フィールド全体に呼びかけるように｢しっかりしろ！｣と叫んだ。
あんまり煽りすぎるとあのキャプテンそのうち手が付けられないくらいに怒り出すんじゃ……
……そんなことないか。
再び試合が始まる。
そろそろ桁違いな実力に自分の実力の無さを感じる頃だろうか。
でもお互い頑張りましょうね、なんて言った手前手を抜くなんてできないし……それにサッカーしたいし。
私は神童さんからボールを奪って走った。
｢そんなんで勝とうなんて甘いですよっ！もっと動きを見ないと！｣
｢くっ……｣
勿論奪い返されたりするのは嫌だけど、折角なら全力で挑んで欲しいもんね。
でも、私のアドバイス……のような言葉を煽りだと思ったらしい。
背後から神童さんの悔しそうな声が聞こえてきた。
｢俺が止める！｣
そう言って私に向かってきた人達にも、フェイントをかけてあっという間に抜き去った。
技でも出してくるかと思ってたけど……案外余裕で突破出来ちゃったな。
私がナメられてるのか、単に技を使えないのか……
それはどうでもいっか。
どんどん選手を交わして、ゴールに立つ三国さんと対峙した。
｢京介よりも弱いシュートだから、絶対停めてくださいね！｣
｢何……っ？｣
困惑した表情を浮かべる三国さんに微笑んでから、私は足に力を込めて普通のシュートを撃った。
三国さんはボールの軌道を読んで、右に動く。
……が。
ピーーッ！
止められる存在がいないボールは、あっけなくゴールに吸い込まれていった。
ボールは三国さんより
傍から見たら、三国さんがボールと真反対の方向に動いたように見えたはずだ。
次々にこっちを見る雷門の皆さんに、とりあえずにっこりと満面の笑みを見せてみる。
｢何だ、今の……？｣
｢三国先輩に何かしたのか？｣
戸惑いの声が上がる雷門をよそに、元の位置に走って戻る。
分かりきったような顔をする味方の皆に片手でＶサインをしてみせてから、再び雷門の方を向くことにした。
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