無反応系メイクヌナ。-2-

届くなら JK ページ17

まだおでこの辺りが熱い。


というか、ヌナに触れたところ全部が熱い。



『…気付いてよ、もう。』



何を気付けばいいのか、ヌナが何を望んでいるのか


それがわからなくて俺まで泣きそうになる。



あの後ヌナがすぐに俺から手を離して、無言でメイクルームを追い出された。


だからヌナが今どんな顔で、何をして、どんなことを考えてるのかわからない。



今までヌナが俺に何かわがままを言ってくれたことも、何か望んだこともなかった。


あれを買ってきて欲しい、あれが食べたいこれをしてほしい


言われたら何だってするつもりなのに、ヌナは俺を頼ってくれたことはない。


あの人の言う『わがまま』が何のことなのか、俺の出来ない頭では答えは出そうにない。



結局ヌナの涙の意味も聞き出せなかったし


いつしか俺は勝手に、ヌナの全てを知ってると思い込んでたみたい。


今日のヌナの話の中に何か答えがあるのかと思って、記憶を遡ってみる。


俺のピアスを褒めてくれた。ヌナの好きな人の話をした、キャンディをくれた…




…ヌナの好きな人は、俺と似てた。


背が伸びたのも髪を切ったのも、カトクを交換したタイミングまで同じ。


本当は聞きたかった。


『俺じゃないんですか』なんて。


けれどそんなことを聞いたところで、きっとヌナはいつもみたいに



のらりくらりと飄々と、『さぁ。』なんて言って避けるだけだから。




俺の気持ちが届いているなら、この近くて遠い距離にいる彼女に手が届くなら


もういっそのこと、あの宝石みたいな唇を奪って連れ出してやりたいのに。



自分でも呆れるくらい小心者な俺は


彼女がくれたキャンディを、ぎゅっと握りしめて



今ここにいない彼女に心の中で手を伸ばすことしか、できやしないわけで。

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