無反応系メイクヌナ。-2-

私 you ページ22

二日酔いで頭が痛かった早朝に始まった撮影。


いつしか外は橙色に染まっていて、ふわりと通り過ぎた風は肌寒い。


スタジオではMV撮影の真っ最中。私は少しスタジオを抜けて、お使いに駆り出された。


すぐ近くのコンビニで、飲み物や軽食、それから私の好きなキャンディを買って戻る。


たくさん品物が入ったコンビニの袋を両手にぶら下げて、スタジオまでの帰路をたどる。



｢…私が私じゃないみたいだ｣



思い出すのは今日のこと。


ジョングクの前で泣いた時、あんなこと言う必要なんてどこにもなかった。



『…気づいてよ、もう。』



今思い出すと、もう私の気持ちを言ってしまったようなものなのに。



言ったのか言ってないのかわからない、微睡みの中にある記憶みたいに


私が泣いていた時彼に何を言ったのか、何を口走ってしまったのか


はっきりと思い出せないところ、本当に私は口が緩い。


きっと思ったことを、意識とは関係なくぽろりと口に出してしまっている。



寝ているジョングクにブランケットをかけるだけなのに、あんなことボヤく必要も無かった。


ジョングクは寝ていたし周りにスタッフはいなかったし

他のメンバーさんは撮影していたり遊んでいたりとあの場にはいなかった。




…だとしても、迂闊すぎる。





｢…きっとほんとは、結ばれたいもの。｣



口から漏れたそんな言葉は


ふわりと春の風に煽られて、溶けていく。

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