超高校級の読書家 裏 ページ7
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「ちょっと無理やりだったかな」
女の子らしい字でサインされた本を抱きしめながら、狛枝の頭は幸福で支配されていた。
朝から不運続きで、そろそろ良いことがあってもいいんじゃないかと思って廊下を歩いていたら、あの風宮莉愛と遭遇することが出来た……数分程で去ってしまったが。
学園内でも噂されるほど本好きで、友達はいなく、クラスでは浮いている存在。喜怒哀楽が乏しいせいか、人形染みて薄気味悪いとすら言われている彼女に会えたのは、運が良いとしか思えない。
「……でも、またいつ会えるか分からないし」
なんたって彼女がいる居場所と言えば図書室しか分からない上、狛枝が何度も尋ねた時に限ってはいないし、幸運を使っても中々見つけられなかったのだから、やっぱり自分の才能はゴミクズでしかないと思う。
熱ぽい吐息を吐くと、たまたま近くを通った本科生達が変な人を見るような視線を向けていたが、気にすることなく呟く。
「また一つ、ボクは希望に触れることが出来たんだ……嬉しいなあ……フフ」
．
薄暗い部屋に一人、机の上に山積みになった本を棚にしまいながら口ずさむ。
「――心のどこかで望んでいたはずだ。誰でもいいから、嘘で固められた自分を見つけて壊してほしい」
一冊、また一冊と、無心にその穴を埋める。
「――彼は泣きそうな顔で笑った。本当に欲しかったものは希望でもない、愛情だったのだと」
小説の一節を言い終えると同時に、最後の一冊を片付ける。少し埃っぽくなってしまっている図書室を見渡して、光を遮っていたカーテンに近づき、勢いよく開けた。
眩しそうに目を細めると、ほとんど独り占めしているこの場所を綺麗にするため、手を動かし始める。
基本的に才能を磨くことに優先されている希望ヶ峰学園は、実技試験に通れば授業も登校する必要もない。とされているが、人格的に未熟のまま社会に出たらろくなことがないような気がするのは、真面目な人だったら誰もが考えるはず。
しかし自分の担任も黄桜と似たような現状な為、こうやってただ好きな本を読むことしか出来ない。
……それに。
「風宮くん。少し話をしないか？」
掠れたその声の方に振り向く。
出入口に佇む老人を見て、風宮はどこか硬い声を発した。
「……そうですね、天願さん」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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