超高校級の読書家 ページ6
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超高校級の読書家。
若干16歳ながら、すでに何万本とジャンルを問わず読み尽くし、彼女が良作だと言ったその本は必ず大ブレイクすると言われ、出版業界では女神の一手と称されている。
しかしもっと凄いのはその人に合った本を選ぶのが得意な事で、本を持つことすらダメだった人を、たった一日で愛読者にまでさせてしまう力を持っている。
「そんなすごい人が今目の前にいるなんて、やっぱりボクはツイてるよ！」
「……誰」
延々と風宮の才能を語ってくる男。
廊下を塞ぐように立っていて邪魔だ。
そもそもこんな人、希望ヶ峰学園にいただろうか。
日向と同じくらい長身で、人懐っこい笑顔を浮かべ、炎のように揺らいでいる白い髪が特徴的……。ほとんど図書室の中で過ごしているせいか、今一つ生徒の顔も名前も思い出せない。
訝しげに視線を送ると「ああ」と思い出すように挨拶し出した。
「ボクは狛枝凪斗。超高校級の幸運なんだ」
「……狛枝、凪斗」
思い出した。
超高校級の幸運は、毎年普通の高校生の中から抽選で一人選ばれるもので、今年77期生の幸運の名前が、確か狛枝凪斗だったはず。
自分も同じ77期生ではあるが別クラスな為、こうやって会話するのは初めてのはずなのだが。
「私は……」
「風宮莉愛さん、だよね？」
口が弧を描く。
「本っていいよね……読むという行為だけだから、比較的才能に振り回されなくてすむし……君が今まで選んで人気作品になったもの全部読ませてもらったよ」
「……はあ、それはどうも。じゃ」
「ちょ、ちょっと待って！」
隙を狙って横切ろうとしたが、狛枝は自分の体格を利用して通せんぼする。
はたから見れば不審者にしか見えない。
「何？」
無駄に背が高い狛枝を見上げると、彼はどこから取り出してきたのか一冊の本を風宮の前に差し出す。
最近自分が気に入っている本の一つだった。
「サインくれないかな？」
「いや、私はただ読んで感想述べるだけの才能だし……その本の作者に書いてもらった方が良いと思うんだけど」
超高校級の読書家なんて大したものじゃない。
今まで爆発的に売れた本だって偶然が重なり合っただけなのに、引き下がってくれなかった。
「君に書いて貰いたいんだ。ペンもほら！」
「……どこから出してるの？」
狛枝は黙ったまま ニコニコ と笑うだけ。
……書かなければ先を通さないと言うわけか。
仕方なくマジックペンと本を受け取り、サインすることにした。
シンプルに自分の名前を書き記して。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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