不自然は確信に2 ページ45
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出入り口前の受け付けを通り過ぎて、一旦立ち止まる。
いくつもの設けられている席には風宮はいなかった。今日は来ていないのかな？と思いながら、狛枝は本棚の列を端から歩いて確かめる。１列、２列、３列……４列にかかった時、雪のような髪色を視界に映りこんだ。
名前を呼ぼうと口を開きかけて、狛枝は止まる。
目当ての本が上にあるようで、風宮はつま先立ちをしながら懸命に２メートル以上ある棚に、手を震わせながら伸ばしている。どうしたって届かないのに、誰にも頼らないで頑張る姿を見ていて、狛枝の胸が キュン と締め付けられた。
……可愛い。思わず口を押さえながら悶えそうになったが、そんなのは置いて、平静な顔で近寄るなり本を取ってやった。
「あっ」
「この本でいいかな」
こちらに振り向く風宮に、胸の前に本を差し出す。
何秒か固まっていたが、微笑を浮かべる狛枝の手から本が離れる。
「……ありがとう」
「フフ、お礼されるほどじゃないよ」
「……今日はやけに楽しそうだね」
「うん、風宮さんの本当の才能が分かったからね」
「え……？」
本を胸に抱きしめながら、風宮は一歩後退りをしようとしたが後ろには本棚があって背中がぶつかる。
可愛い所を見せてもらったは言わないで置こう。と内心呟きながら、狛枝は逃げないように顔の脇に手をついた。
「……君の才能は、超高校級の奇跡、でしょ？」
ね？と、顔を近づけて笑うと、彼女の瞳が揺らいだ。いつかこの人にはバレるだろうと悟っているも、驚きと、少しの恐怖が見え隠れしている。
「……どうして」
「どうして分かったかって？」
それが当たりだと分かれば、口許の歪みが深くなるばかり。狛枝の口調は心なしか弾む。
「あの爆発を無傷でいたことと、その被害で死人が出なかったこと……君といる間は、全くボクの不運がこないことかな？普通そんなことあり得ないんだよ！」
口を強く結びながら見つめる風宮に、互いの息がかかるくらいに距離を縮め、狛枝は熱っぽい声を発する。
「……けど、不可能を可能にしてしまう……それが風宮さんの才能なんだね……やっぱり君は、ボクが望む絶対的な希望なんだ……っ！」
言い換えれば、絶望的な状況を希望に覆してしまうのが奇跡。興奮で息が荒くなる狛枝と逆に、風宮は今までに見ないほど冷えきっていた。
「知った気でいないで」
本で狛枝の頭を軽く叩くと「いてっ」と顔が離れる。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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