偶然の一致2 ページ5
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視線を逸らしながら拳に力を入れるも、抜けていく。
所詮予備学科がそういうものなのは、誰よりも日向が理解していたつもりだった。希望ヶ峰学園というブランドの欲しさに、多額な学費を払う才能のない生徒がどれだけ上を見ようとしても、無能に変わりはないのだから。
「予備学科くんは、普段ここに来ることが多いの？」
「……ああ。一人で考える時よく足を運ぶよ」
でも“予備学科”なんて面と向かって言われると、ちょっと堪えてしまう。
なんとか作り笑いをして見せると、彼女は一瞥して日向から希望ヶ峰学園の方をまっすぐと見据えた。
「……じゃあさ、時々話し相手になってくれないかな」
「は？」
「ボッチだからさ、私」
そう言って栞を挟んで本を閉じる。
冗談を言っているようには見えない。けど、本科と相手をするなんて図々しいんではないだろうか。
日向は片手を胸の前に出し、待ったをかける。
「別に俺じゃなくたっていいんじゃないか？君と俺じゃ釣り合わないし」
「……本科と予備学科だからって、言いたいの？」
こちらに振り向く。
「ねえ、君は才能ばかりに目を配ってない？」
静かに、呆れたようにも聞こえる声に、思わず小さく喉を鳴らす。
「……もっとさ、内面を見ようよ。才能を持ってるから偉いんじゃないし、すごいわけじゃないよ」
「……充分すごいじゃないか。俺は、君が眩しくて羨ましいよ」
彼女には分からないだろう。
どれだけ才能が欲しくて、必死になって、この予備学科に入学してきたのかも。
自嘲気味に笑みを浮かべると「……頭が固いなぁ」と彼女が呟く。
「例え自分よりかけ離れた凄い才能を持ったとしても、人間性が未熟なら、どんな才能もくすんでしまうんだよ？」
「貴方は貴方だし、他の誰でもない。他の誰かが予備学科くんの代わりになんてなれないし……ここにいる予備学科くんは一人しかいないよ」
ジッ と見詰める彼女の目に偽りはない。
そんな風に捉えている人もいるんだと思うと、毛嫌いするイメージが強い本科生達の見る目も、少しだけ変わりそうな気がした。
……ただ一つ、言いたいことがあるとすれば。
「さっきから予備学科予備学科って呼んでるけどさぁ、ちゃんと名前はあるんだからな？」
「……名前知らない」
日向は長い吐息すると、体を彼女に向け手を差しのべる。
「俺は日向創。よろしくな」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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