一方通行 ページ39
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外は夕暮れ時。
学園の門をくぐり抜けると、彼はこちらに気付いて柔和な笑みを口許に浮かべ、手を振ってきた。
恋愛小説のワンシーンにも例えられるが、そんな甘い雰囲気なんてお呼びじゃなく、現実はもっとシビア。
今回の黒幕である狛枝が、風宮に近寄るなり一言。
「待ってたよ」
数秒ほど経って、やっと声を出す。
「ストーカー？」
「あはっ、そんなんじゃないよ」
約30�僂睥イ譴森�枝を睨むように見上げると、両手でまあまあと制される。
「君に興味があるだけなんだ」
好奇な視線を送られ、風宮は黙りこむ。
何に対して興味を持たれたのかは知らないが、相手からこちらに近寄って話しかけて来たのは色々と好都合だ。
偶然なのか、必然なのか、それとも幸運なのか。そんなのはどうだっていいが、狛枝をきっかけに何かが起きそうな気がして胸がざわつく。
「今、話とか出来るかな？」
「……そうしたい所だけど」
「あ、こんなゴミクズみたいな奴に時間を割く暇なんてないか。ボクは無期限の停学だから24時間フリーだけど、風宮さんは才能磨くのに忙しいもんね！」
話を遮られ、口を閉ざす。
マシンガントークする狛枝の話を受け流しながら、肩に掛けている通学鞄のチャックに手をかけ、中を開ける。
数冊の本、筆記用具、教科書、財布、流流歌お手製の可愛いくラッピングされた飴があり、内側のポケットにはメモ帳がある。
どれだけ自分が周りと劣っているのかと、右手を見つめながら話している狛枝だが、風宮が聞いていないことに気付いていない。
風宮はペンとメモ帳を取り出して、時間と場所を書き記した紙を ビリッ と切り離す。その紙を狛枝に差し出した。
「ん」
「え？」
自分の世界につかっていた意識を、現実に引き戻されたような顔を浮かべている。
いつまでも受け取る気配が無さそうなので、風宮は狛枝の左手に紙を握らせた。
「……今日はもう遅いけど、私も貴方には聞きたいことが沢山あるから。明日、そこに来て」
狛枝はメモした紙を見るや嬉しそうに言う。
「待ち合わせなんて、と、友達みたいなことするんだね……不運に巻き込まれてこの紙無くしてしまいそうな気がするけど、ちゃんと頭に記憶したよ」
「友達じゃない」
一刀両断に切り捨てる風宮に狛枝は気にしていないようで「じゃあ恋人かな？」と冗談を言ってくるので、無言でローキックをかましてやった。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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