狛枝凪斗の憂鬱と驚愕と消失4 ページ37
．
嘘は言っていない。
日向と会ったのは、確かにあの時が最後。
居場所を知っている所で、あの同意書と自分の首にある枷のせいで言えないし、もし無関係の人がそれを知ったらどうなるかなんて言わなくても分かる。
顔から離れ落ち込む七海に、風宮は一つ提案を出した。
「忘れたら？」
「えっ」
いつ会えるか分からない。それどころか日向創として七海の元に現れるなんてことは、もう二度とないのを知っているからこそ、風宮は残酷な事を言う。
「……日向くんのこと何か忘れて、貴女はクラスとの思い出を作った方が良いんじゃないかな」
「どうしてそんなことを言うの……私は、日向くんとゲームする約束したんだよ？またなって言ってくれた」
七海は人を前に指し示す輝きを持っている。力強くて、温かい光。それを人は、希望と言うのかもしれない。
「ふぅん……じゃあずっと待ってたら良いんじゃない」
「……う、うん」
ゲーム機を胸に抱き寄せて、無理に笑みを作ろうとする七海を見据えて、その場から離れようと足を進めようとした時、声がふりかかった。
「もし日向くんと会ったら、今度は３人でゲームしよう？」
風宮は誘いを定かにしないまま、なにも言わずに去ることを選んだ。行き先は、実技試験が行われている体育館。
もし狛枝が何かをしようとして教室にいないのなら、そこしかないと思ったし、災いが起きるとなれば流流歌と十六夜が危ないかもしれない。
派手に体を動かすな と退院してから松田に言われていたが、薬が効いてることもあって風宮は構わず走り出す。
体育館付近に着くと、狛枝の姿を捉えた。
その横に巨大化したチワワが愛らしい顔で狛枝を見ている。これは………
「……いやっ、まだ爆弾が」
小さく、しかしはっきりと風宮は聞こえた。
肩に掛けていた鞄を地面に置いて、中を開こうとしゃがみこむ狛枝の横を走って通ろうとしたが、それよりも早く、チワワが体育館の壁を粉砕して向かっていく。
「……やっぱりか、ツイてない」
間に合わないと直感した。
一瞬、狛枝が自分が横切ったことに目を丸くして、何かを言おうと口を開きかけたが、風宮は見向きもしないで体育館の方に向かった、直後―――劈くような爆発が体育館を包み込み、瓦礫や鉄骨がこちらに吹き飛んでくる。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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