狛枝凪斗の憂鬱と驚愕と消失3 ページ36
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翌日、実技試験を延期にさせないと災いが訪れるという貼り紙が、体育館の出入り口で見つかった。
誰かの悪戯か と教師達が騒いでいたが、念のため警備員を増やすことでそのまま試験を行われることになった。
いつもより生徒の行き来が激しい一階の廊下を風宮が歩いていると、前方から「りっちゃーん！」と流流歌が手を振って駆け寄ってくる。後ろには、十六夜を連れて。
「静子ちゃんから薬貰えた？」
「……うん。おかげで今は痛くないよ」
鎮痛剤を貰うきっかけを与えてくれたのは、流流歌だった。顔色悪いと指摘されて事情を話したら、だったら薬剤師の忌村なら良い薬を作ってくれるかもしれないと言われ、紹介してもらったわけなのだ。
そこで狛枝に出会うとは思わなかったが、あの爽やかな笑顔を見たとき、ああこの人嘘をついていると察したが、必要以上に問い詰めることはしなかった。
流流歌は自分のことのように話し出す。
「本当魔法みたいだよね。流流歌も困ったときは静子ちゃんが頼りなんだ〜！」
「……そうなんだ」
「あっ、と、そろそろ行かなきゃ！」
校内放送が流れ出す。今から76期生の実技試験が始まります と聞いた流流歌と十六夜は、 体育館に向かおうと互いの腕を絡ませながら走っていく。
その背中を暫く見ていた風宮の肩に トントン と叩かれる。
振り返って見ると、ピンクのゲーム機を片手に持ち、何かを探しているような顔をしている七海だった。
「……どうかした？」
「狛枝くん見てない？一人だけ教室にいないの」
聞いて、やはり昨日の狛枝の行動を思い出す。
元々、人を見る目は他人より優れている方だった。それを色んなジャンル、心理学的なものも読んでいると何となく解るものがある。生気を失われたような目、若干頬を強ばらせて笑うそれは、何かを成し遂げようとするのを背景としている。ようは危ない奴。
しかし理科室に会ったっきりで、朝から狛枝の姿は
「ううん、私は見てない」
「そっか……」
気落ちした声で、ゲーム器に視線を落とす七海。
「……本当は、彼の事を聞きに来たんじゃないの？」
たった一言で、七海は分かりやすい反応を示した。
ゲーム機を持つ手に力が入り、風宮の方に顔を近付く。
「日向くんと会ったの！？」
首を横に振った。
「私も会ったの、退院したその日が最後なんだ」
「……そう」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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