狛枝凪斗の憂鬱と驚愕と消失2 ページ35
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一番手っ取り早い話、犯行予告を教師に見せて煽らせればいいだけだが、確実に中止にさせるには幾つか伏線を引く必要がある。
たまたま廊下に落ちていた舞園さやかの写真集を手に、狛枝は花村を呼び出し、交換条件として超高校級の薬剤師を紹介してもらうことにした。
理科室に近づいていくと、中から話し声が聞こえる。
徐に引き戸を開けて中に入ると、独特の薬品の臭いが鼻腔に刺激する。
あの…… と口を開くのと同時に、狛枝は固まった。
薬剤師の忌村静子が話している相手、ソファにちょこんと座っている姿に見覚えがある。
「……風宮、さん？」
その名前を口にすると、忌村が いつの間にいたんだ と言わんばかりにこちらに目を開かせていたが、風宮はゆっくりと狛枝を見上げた。
小動物のように小柄で、何をしても興味無さそうな表情。人形のようだった。勿論悪い意味の方ではなく、容姿が整っていると言う意味で。
彼女の姿を間近に見たのは、これで３回目。
最初は本にサインしてもらって、２回目は予備学科に怪我を負わされて、雪染の提案で1-Bクラス全員で見舞に行った時だ。
周りとは何回か話し合うほどの仲らしいのに、なぜ幸運であるはずの自分が風宮の遭遇率が異常に低いのか。違和感を感じていたが、彼女を目の前にしたらそんな些細なことはどうでも良くなった。
「怪我は、もう大丈夫なの？」
沈黙。狛枝を見つめていたが、まるで聞こえていないかのように顔を逸らされてしまう。
代わりに忌村が、台の上にあった透明な薬品を風宮に授けて細々と説明し出す。
「……頭部を強く打ったせいか、後遺症の頭痛が酷くて、私の薬を貰いに来たの」
「そうなんですか」
相槌を打ち、狛枝は忌村に向かってにこやかに口を開く。
「実はボクも、忌村先輩に頼みごとがありまして」
「頼みごと……？」
「はい。下剤を作って貰えないかと思いまして……ここ数日、便秘が酷くて困ってるんですよ」
そう言って腹を擦ると、不意に水を掛けられたような感覚に襲われた。
「……本当に？」
「え？」
「本当にそれだけ？」
その口ぶりを聞いて、狛枝は顔に出さすとも驚いた。
悟られないように言動に気を付けていたのに、人をよく見ている。研ぎ澄まされたその洞察力に讃えたくなるも、狛枝は自分を見つめる風宮に笑い返す。
「うん。それだけだよ」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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