狛枝凪斗の憂鬱と驚愕と消失1 ページ34
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予備学科の方で二人の女子が事件に巻き込まれ、亡くなったという噂は、本科の方でも広まった。
その被害者の一人は狛枝のクラスメイトである小泉の友達だったらしく、２週間経った今でも友達の死に受け入れられ無いのか、ぼんやりとカメラのファインダーを見つめている。
「プリントは後ろの人まで回ったー？これが、明日から始まる実技試験の進行表です。準備が必要な人は今日のうちに済ましておいてね」
雪染はそんな憔悴したクラスの空気をはね除けるかのように、説明をし出した。
「希望ヶ峰学園本科には定期試験がありません。その代わりが1年に一回だけ行われる実技試験です。成績によっては在学継続を認められない場合もあるけど、このクラスの皆なら大丈夫よ！」
元気付けるように雪染は笑顔を作る。
「自分の才能を発揮し、その成果を先生達に披露する唯一の機会よ。頑張りましょうね！」
ホームルームは１０分ほどで終わり、雪染は先に教室を後にした。色んな所から聞こえてくる実技試験の話。
何をするか。何を見せるか。
そんな超高校級の彼らの会話を聞いていて狛枝の耳は心地よくなるが、中には割り切れない人もいるらしい。
暫く彼らの様子を観察していたが、思い立つようにその場を退席する。
「試験を中止してほしい？」
「はい」
「あんな事があって、確かに皆元気がないけど……」
職員室に着くなり、狛枝は自分の願いを雪染に伝えた。
眉を下げながら、立っている狛枝に社交的に口許に笑みを残して雪染は見上げる。
この先生は、今までクラスに大切なものを教え希望を築き上げてくれた。話せば理解してもらえるんじゃないかと、狛枝は好青年らしい微笑を滲ませ胸に手を当て、語り出す。
「ボクなんかと違って、才能あふれる皆だったら試験なんて楽勝ですよ。だけど、皆には万全な状態で試験を受けてほしいんです。ボクが見たいのは皆の才能が最高に輝く瞬間なんです」
「私もそうしてあげたいけど……ごめんね。マスコミの取材が入る予定だし、ちょっと難しいかな……」
遠回しに雪染に断られ、狛枝は胸に添えていた手が脇に落ちる。色が抜け落ちかけそうになるが、見繕うように笑顔を作った。
「そうですか。わかりました」
「え、もういいの？」
「はい、ありがとうございました。先生」
軽く一礼して、狛枝は職員室から出る。
ドアを閉めると肩を竦め、一人囁く。
「あっは。ま、そりゃあ無理だよねぇ。なら、自分で何とかしますよ。先生」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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